『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』唐木貴央 編 第三話「こだわりを知る」 初グラビアに挑む女の子へ「自信がないのは、自分の魅力に気づけていないだけ」

あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。


第14回目のゲストは、鈴木ちなみの『ちなみに…』や小島瑠璃子の『こじるりっ!』、大原優乃の『ゆうのだけ』など、数々の写真集を手がけてきた唐木貴央氏が登場。女の子の“初めて(ファーストグラビアやファースト写真集)”を多く切り取ってきた彼が語る、グラビアの魅力とは。


唐木貴央 作品のデジタル写真集一覧はコチラから!



――師匠・根本好伸さんと現場でご一緒になったり、スチール担当として映画の撮影現場に密着されたり。前話では独特なキャリアの幕開けを聞かせていただきましたが、その後のお仕事は?


唐木 独立から2〜3年目。まだまだグラビアのお仕事が定着していなかった頃に、『週刊ヤングマガジン』で井上和香ちゃんの月イチ連載「和香さま素っぽんぽん」が始まって。ありがたいことに、毎月の撮影を担当させてもらえることになったんですよね。当時、テレビに雑誌に大ブレイク中だった和香ちゃんがやってみたいことに挑戦したり、日常の何でもない気づきを語ったりする、とにかく自由な連載で。水着ではないにしろ、あの『ヤンマガ』に月イチで僕の名前と写真が載るんです。毎月、企画を出し続けるのは大変でしたが、定期的に編集部に通っていろんな編集者さんとコミュニケーションが取れたのも、僕としてはうれしい話でしたね。


――おぉ〜、連載ですか!だいぶ大きなチャンスを掴みましたね。


唐木 和香ちゃんの連載に続いて、週プレで始まった当時の人気お天気キャスター・高樹千佳子さんの連載「高樹千佳子の晴れに歌えば♪」でも、撮影を任せてもらうようになりました。これはモノクロのページだったんですけど、その後、連載をまとめたムックを作ることになり(2006年)、本誌の表紙も飾ることになって……。と、軌道に乗り始めたように話していますが、ギリギリのところで写真集の話が決まらないなど、悔しい思いもたくさんしていた時期でしたね。


――今や雑誌の撮り下ろしはおろか、写真集の撮影も多数手掛けている唐木さん。ターニングポイントは何だったんでしょう?


唐木 週プレで撮影させてもらった鈴木ちなみさんの初グラビアですかね(デジタル写真集『美人モデル!初水着の衝撃』に収録)。当時の衝撃は今でも覚えています。「えっ、何で今までちなみちゃんのこと知らなかったんだろう!?」と思わされるくらい、スタイルが良くて、おしゃれで。とにかくグラビアの完成度が高かったんですよね。


2012年1月6日発売『週刊プレイボーイ3.4号』に掲載


――鈴木さんがグラビアデビューされたのは2012年のことです。当時かなりの反響がありましたよね。それ以前もモデルとして活動されていましたが、グラビアをきっかけに鈴木さんを知った方も多かったはずです。


唐木 いわゆるモグラ女子の先駆け的な存在になりましたよね。それと、ちなみちゃんの担当編集の方は、かつて『ヤンマガ』で井上和香ちゃんの連載を一緒に担当していた編集さんでもあるんですよ。週プレに移られて、担当したちなみちゃんがヒットして。これは、その編集さんにとっても、大きな自信に繋がった思い入れのあるグラビアだそうです。


――そ、そうだったんですね!何だか、絆を感じる話だなぁ……。


唐木 お互い、まだ思うようにグラビアのお仕事ができていなかった頃に「いつか一緒にグラビアをやろう!」と何度も話していたので、ちなみちゃんのヒットは通常よりも喜びが倍増でした。僕も、ちなみちゃんのグラビアをきっかけに各グラビア誌からたくさんのオファーをいただくようになりましたし、本当にみんなが幸せになったんですよね


――その後、2012年11月にはファースト写真集『ちなみに…。』が発売されました。


鈴木ちなみファースト写真集『ちなみに…。』(2012)表紙より


唐木 初グラビアから写真集が出るまでの間、僕も撮らせていただいていましたが、僕以外のカメラマンさんによる撮り下ろしも数回あったんですよね。だから写真集の撮影の時、ちなみちゃんにお会いするのは、わりと久々だったんです。まぁ、初グラビアを撮らせてもらった時から、「ちなみちゃんが写真集を出すならカメラマンは絶対に僕がやりたい」と思っていましたし、ブランク関係なく、撮影中は終始アドレナリンが出ていましたけど(笑)。


――唐木さんって、初の水着グラビアやファースト写真集など、女の子の“初めて”を撮影されることが多いですよね。例えば、川津明日香さん(デジタル写真集『どうしたって好きになる』)とか。明るくて、かわいくて。初々しいがゆえの輝きがギュッと詰まった写真は、まさに“初めて”に相応しいです。


唐木 ありがとうございます。そう言われると何だか照れますね(笑)。川津さんはね、1枚目から良かったんですよ。現場入りした瞬間は不安そうでしたけど、序盤に撮れた写真をパッとお見せしたら、本人も大丈夫だと思ってくれたのか、後は自由に動いてくれて。さすがモデルさんという印象でしたね。


――さすがですね。ほかに、印象的な初グラビア女の子はいますか?


片山萌美『Test Shoot Katayama Moemi 2014』より


唐木 片山萌美ちゃんですね。「週プレのグラビアを通して、ゼロから作っていきたい女の子がいる」とオファーを受けて、早速テストシュートをしたんです。デジタル写真集『Test Shoot Katayama Moemi 2014』を見ていただければ伝わると思うのですが、初々しいのに、めちゃくちゃ肝が据わっているんですよ。表情が凛としているというか。でもポージングは、やっぱりどこかぎこちない。ひとつひとつ丁寧に指示を出して、修正しながら作っていった記憶がありますね。


――片山さんの初グラビアは、2014年9月発売の本誌39号に掲載されました。「見つけてしまった……」から始まる扉のカットがスゴく印象的です。


2014年9月16日発売『週刊プレイボーイ39号』に掲載


唐木 彼女にとって何が正解か。どうすれば彼女の持つ輝きを、最大限まで光らせてあげられるか。何も分からないまま、衣装、ヘアメイク含め、とにかく最初のうちは試行錯誤の連続でした。ただ、萌美ちゃんの成長具合はとても著しくて。撮影を重ねるたびに表現力が増して、ますます綺麗な女性になっていったんですよね。特に、2015年の北海道ロケは素晴らしかった。表情も佇まいも、何から何まで自然体で美しかったんです。たどたどしいテストシュートを知っている身からすると、これほど喜ばしい事実はなかったですよ。


――その北海道ロケのカットは、週プレプラス!会員のみが閲覧できる+Special『試される季節』に収録されていますね。確かに、とても美しいです。ところで、女の子にとって初グラビアは人生に一度しかない貴重な瞬間です。不安、緊張、期待……。その心のうちは、あらゆる感情が複雑に絡み合っているはずですが、そんな女の子たちに、唐木さんは一体どのようにアプローチされているんでしょうか?


片山萌美+Special『試される季節』より


唐木 初めてのお仕事に緊張するのは当たり前。ある程度、覚悟を決めて現場入りしている子がほとんどでしょうけど、実際に撮影が始まってみないと、不安も完全には拭い切れないですよね。ですから何より優先すべきなのは、女の子に安心してもらうこと。撮れた写真はなるべく細かく見せてあげたり、変に頭を使わせないようひたすら体を動かしてもらったり。僕なりに、その子にあった塩梅で色々と工夫しているつもりです。せっかくなら「挑戦して良かった」と、満たされた気持ちで帰ってもらいたいので。


――や、優しい気遣い……!


唐木 ただ、カメラの前で自信なさそうにしているのを見ると「もったいないなー」とは思っちゃいますね。人それぞれコンプレックスがあるのは仕方がないとはいえ、みんな、めちゃくちゃかわいいのに、どうしてそんなに自信がないの!?って。自信を持てずにいるのは、単に自分の魅力に気づけていないだけ。だから僕は、写真を撮りながら必死でプレゼンしますよ。「あなたはここが素敵なんですよ」って。やっぱり写真は、撮る側も撮られる側も幸せになれるものであってほしいんです。僕なりのこだわりですね。


唐木貴央 編・最終話は10/28(金)公開予定! 小島瑠璃子に大原優乃、菊地姫奈、あの笑撃作も!? お気に入りのデジタル写真集を語りまくる!!


唐木貴央 作品のデジタル写真集一覧はコチラから! 




唐木貴央プロフィール

とうのき・たかお ●カメラマン。1977年生まれ、兵庫県出身。

趣味=美術鑑賞

カメラマン・根本好伸氏に師事し、2002年に独立。

主な作品は、『アロハロ!モーニング娘。さくら組&おとめ組写真集』(根本好伸氏、福岡諒祠氏と共作)、鈴木ちなみ『ちなみに…。』、小島瑠璃子『こじるりっ!』、志田友美『YUUMI』、片山萌美『人魚』、秋元真夏『真夏の気圧配置』、橋本梨菜『RINA × BLACK』、大原優乃『ゆうのだけ』、京佳『きょんにゅー』、大和田南那『りすたあと』、豊田ルナ『月-Luna-』、Liyuu『鼓動』、竹内詩乃『内緒』など。

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