『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』唐木貴央 編 第四話「おすすめを知る」 思い入れのある作品を振り返る。「まさか〇〇のグラビアを撮るとは思いませんでした(笑)」

あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。


第14回目のゲストは、鈴木ちなみの『ちなみに…』や小島瑠璃子の『こじるりっ!』、大原優乃の『ゆうのだけ』など、数々の写真集を手がけてきた唐木貴央氏が登場。女の子の“初めて(ファーストグラビアやファースト写真集)”を多く切り取ってきた彼が語る、グラビアの魅力とは。


唐木貴央 作品のデジタル写真集一覧はコチラから!



――2022年10月現在、週プレ グラジャパ!には、唐木さんが撮影を担当されたデジタル写真集が(特装合本版含め)73件あります。この中から、特に思い入れのある作品をいくつか教えていただけますか?


唐木 そうですねぇ。まずひとつは、大原優乃ちゃんのファースト写真集『ゆうのだけ』ですかね。紙でリリースされた写真集のデジタル版なんですけど、本作の撮影が決まる前に、たまたま本誌で撮り下ろしをさせていただいて。その写真が良かったのか、急遽、写真集まで任せてもらえることになったんですよね。


大原優乃ファースト写真集『ゆうのだけ』(2018)表紙より


――本作がリリースされたのは、大原さんがグラビアデビューされて1年も経たない時期でした。当時、かなり勢いがありましたよね。その中で、貴重なファースト写真集を任されるなんてスゴいです。


唐木 いやいや、タイミングが良かったんですよ。ギリギリまで僕以外のカメラマンさんが撮影する案が残っていたそうですから。それにしても優乃ちゃんは、とてつもなくピュアな女のコでした。撮っているだけで、不思議と自分の心まで浄化されていくというか。「優乃ちゃんのためだったら何でもしてあげたい」とスタッフみんなが思うくらい、周りの気持ちを明るくさせるパワーがあるんですよね。いまだに写真を見返すと、当時の優乃ちゃんのパワーがひしひしと伝わってきて胸が熱くなってくるほどです。


――女優として数々の作品に出演される中、今もたびたび週プレのグラビアに登場してくれています。『ゆうのだけ』は、大原さんの“始まりの一冊”と言っても過言ではないですよね。


唐木 それから菊地姫奈ちゃんの撮影も印象的でした(デジタル写真集『ちょっとだけ』)。当時まだ16歳だったんですけど、出てくる表情があまりに大人っぽくて衝撃を受けたんですよ。しかも、僕がファインダーを覗きながら「こう撮りたいな」と思う感じに、何も言わなくても自然と寄せてきてくれるんです。多分、その場の空気感や写真に写る色味、衣装、メイクなどから、シチュエーションにあった表情を見つけるのが上手なんでしょうね。撮っていてスゴく楽しかったですよ。


菊地姫奈『ちょっとだけ』より


――確かに『ちょっとだけ』は、白、黒、ピンク、緑……と、衣装のカラーバリエーションが豊富で、それに応じて表情がガラッと変化するのが印象的でした。


唐木 この間、久々に他誌で撮らせてもらって。ますます魅力的になられていましたよ。まだ18歳ですよね?まだ成長過程と思うと、この先が楽しみで仕方ありません。根は、“二次元好きのオタク”っていうギャップもかわいらしいですよね(笑)。


――唐木さんというと、毎夏に小島瑠璃子さんを撮影されているイメージも強いです。


唐木 2013年の沖縄ロケ以来、定期的に撮らせてもらっています。2020年以降、コロナの影響もあって、久しくご一緒できていないのですが、毎年同じスタッフで瑠璃ちゃんの夏休みも兼ねて撮影に行っていたのは、リアルに親戚の集まりみたいでしたね(笑)。


2013年2月18日発売『週刊プレイボーイ9号』に掲載


――かれこれ7年は撮影を続けられていたわけですけど、毎回の撮影テーマはどのようにして決めていたんですか?


唐木 企画ものの撮影は別として、基本的には、“瑠璃ちゃんがやりたいことをやる”というのがテーマになっていますね。新鮮さを求めて、あえて行ったことのない場所に行ってみるとか、何かアクティビティに挑戦してみるとか。何と言っても、毎年の撮影を誰よりも楽しみにしているのは瑠璃ちゃんなんですよ。だから、どれだけテレビの仕事が忙しくても、夏にはグラビアのためにスケジュールを割いてくれる。瑠璃ちゃんの笑顔には人を幸せにする力があると思っていますし、現場では、とにかく瑠璃ちゃんが楽しくいられることを第一に考えていますね。


――毎回、楽しそうな笑顔が印象的でした。小島さんのグラビアを見ると「夏が来たな!」って思います。


唐木 本当に、太陽のように明るい女のコですからね。……と、いろいろデジタル写真集を振り返ると、思い出すエピソードがたくさんありますね(笑)。他には、池田桃子さん(デジタル写真集『秘密のデート』)とか。忘れられない現場でしたよ。


池田桃子『秘密のデート』より


――池田さんは、グラビアでもお馴染みの『CanCam』専属モデル・ほのかさんの“ガチ”のマネージャーさんなんですよね。グラビアに出られた時は「まさか!」と思いましたよ(笑)。


唐木 タレントさんのマネージャーさんってきれいな方が多いんですよ。「グラビアやったらいいのになぁ」と、密かに心の中で思うことはあっても、さすがにそれが現実になるとは想像もしていませんでした(笑)。後にも先にも、なかなかある話じゃないでしょうし、貴重な体験をさせていただけてうれしかったですね。


――普段から撮影に同行されているマネージャーさんとはいえ、普段は会社員なわけです。撮られてみていかがでした?


唐木 最初は照れた様子でしたけど、すぐにコツを掴んで楽しんでいらっしゃいましたよ。最後の方は、シャワーで体を濡らしながら「何だか週プレっぽい!」なんて言っていましたから。「めちゃくちゃノリノリじゃないですか!」って(笑)。うん、スゴく楽しかったですね。


――「まさか!」の作品というと、鈴木ふみ奈さんの『搾りたくなるなる』も衝撃でした。牧場で牛と水着、ですから(笑)。


鈴木ふみ奈『搾りたくなるなる』より


唐木 あぁ〜、これは僕もビックリしましたよ。編集さんから撮影の話があったと思ったら、いきなり「牛と撮りたいんですよねー」って。「えぇ!?」「あっ、牧場押さえといたんで」みたいな(笑)。


――「そういう問題じゃないから!」って(笑)。


唐木 そうそう(笑)。まぁ、そういう謎なシチュエーションで撮影できるのも、グラビアの醍醐味ですよね。鈴木さん、かなり牛にビビっている様子でしたけど……。デジタル写真集の中身は牛だけじゃないので(笑)、鈴木さんがお好きな方には、是非チェックしてもらいたいですね。


――そういった変化球的なグラビアでも、唐木さんならきれいに、良きように撮ってくれそうな安心感がある気がします。グラジャパ!での作品数が多いのも、そのためなんじゃないですかね?


唐木 ありがとうございます。おっしゃる通り「安定感がある」「きれいに撮ってくれる」と言われることは多いです。ただ、うれしい反面、僕としては少し複雑で。正直なところ、もっとインパクトのある写真を撮らなければ埋もれてしまうんじゃないかと思っているんですよね。 ないものねだりなのかもしれませんが……。


――どうしてそのように思うのでしょうか?


唐木 「安定感」や「写真のきれいさ」が僕の強みだという自覚はあるのですが、デジタルカメラが主流の今、そのような写真は誰にでも目指せる気がするからです。まぁ、その中で僕の個性を出せている自負もあるのですが、全く違う可能性も探っておかないと、いつか立ち止まってしまう日が来る気がするんですよね。


――な、なるほど。


唐木 ある程度年齢を重ねると、自分の中にある引き出しだけで勝負しようとしてしまうんですよ。写真に限った話じゃないですが、何事も、続けていれば慣れが出てきますから。だからこそ、今ある評価に甘んじない挑戦をしていかないといけない。長くグラビアの現場に携わらせてもらっているからこそ、そういった意識が必要だと思っているんです。


――毎回コラムの終わりに今後の展望をお聞きしているのですが、唐木さんの場合は、安定感を打ち壊すような写真を撮っていきたい、ということになるんでしょうかね?


唐木 そうですね。先ほど言っていたことと矛盾しているかもしれませんが、「この写真、誰が撮ったんだろう?」と思わずクレジットを見てしまうような、これまでの僕のイメージにないグラビアを撮っていきたいです。もちろん、 「きれい」と言っていただける自分らしい写真も大事にしつつ。あとは、こんな時代ですし、NFTの市場で写真を売って……って言うのは冗談ですが(笑)。いずれにせよ、自分の可能性には貪欲でいたいですね。


第15回ゲストは、大原優乃の初グラビアを撮影した藤本和典氏が登場! 取材は、まさかの〇〇〇〇をしながら!? 2022/11/4(金) 公開予定です。お楽しみに!!


唐木貴央 作品のデジタル写真集一覧はコチラから!




唐木貴央プロフィール

とうのき・たかお ●カメラマン。1977年生まれ、兵庫県出身。

趣味=美術鑑賞

カメラマン・根本好伸氏に師事し、2002年に独立。

主な作品は、『アロハロ!モーニング娘。さくら組&おとめ組写真集』(根本好伸氏、福岡諒祠氏と共作)、鈴木ちなみ『ちなみに…。』、小島瑠璃子『こじるりっ!』、志田友美『YUUMI』、片山萌美『人魚』、秋元真夏『真夏の気圧配置』、橋本梨菜『RINA × BLACK』、大原優乃『ゆうのだけ』、京佳『きょんにゅー』、大和田南那『りすたあと』、豊田ルナ『月-Luna-』、Liyuu『鼓動』、竹内詩乃『内緒』など。

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