2022年11月25日 取材・文/とり
あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。
第15回目のゲストは、大原優乃の初グラビア(デジタル写真集『実は私、○○だったんです』)や、現在グラビア界で話題沸騰中のYouTuberいけちゃんの最新グラビア(デジタル写真集『AS FREE AS A BIRD』)などを手掛けた藤本和典氏が登場。取材はまさかのキャンプ場で!? 一風変わった彼の個性と作品を探る。
――グラジャパ! からリリースされているデジタル写真集の中で、特に思い入れのある作品を教えてください。
藤本 そうだなぁ……。撮っていて楽しかったのは、上田操さんですね。もともとマッチングアプリの広告をきっかけに注目を集めた女の子なんですけど、表情の引き出しも多いし、腰の入りも綺麗で、グラビア的魅力を抜群に兼ね備えているスゴい子だったんですよね。
上田操『となりの操』
――かわいさと色気のバランスが絶妙というか。週プレの中でも独特な存在感を放っていましたよね。
藤本 そうでしょう? スイッチが入るとめちゃくちゃ艶かしいのに、素に戻ると、子どもみたいな笑顔を見せる。『となりの操』のほかに『となりのみさおっち』というデジタル写真集も出させてもらいましたが、どちらも気に入っていますね。またいつか、撮らせてもらいたいなぁ。……あとは、元たけやま3.5のワッキー(脇田穂乃香ちゃん)とか!
――脇田さんといえば、2018年の本誌「丸ごと一冊 新ヒロイン初水着」号(2018年10月22日発売『週刊プレイボーイNo.45』)で、ソログラビアデビューを果たし、初表紙にも選ばれていましたね。
2018年10月22日発売『週刊プレイボーイNo.45』表紙
藤本 そうそう! 笑顔がスゴく素敵で、スタイル抜群の女の子なんですよね。確か、僕が初めて週プレの表紙を撮らせてもらったのも、このワッキーのグラビアだったはずです(デジタル写真集『青春の爆弾』)。ワッキーも初表紙だし、僕も初表紙、みたいな(笑)。そういう意味でも思い出ですね。
――最近だと、韓国の人気モデルであるピョ・ウンジさんのグラビアが印象的でした(デジタル写真集『Omotenashi~Pyo Eunji in Japan~』)。海外の方に日本のグラビア文化が愛されているのも嬉しい話でしたし。
ピョ・ウンジ『Omotenashi~Pyo Eunji in Japan~』
藤本 ウンジちゃんを撮らせてもらっていちばん驚いたのは、肌の綺麗さ。スタイルの良さに加えて、透明感が半端じゃなかったです。それに、日本のグラビアを研究されているからか、体の見せ方がとても上手で。憧れの日本のグラビア誌に出られるということで、撮影中も、サービス精神旺盛に頑張ってくれました。また日本に来る際は、撮らせてもらいたいですね。
――大原優乃さんの初グラビア(デジタル写真集『実は私、○○だったんです』)は、どうでしたか? 今や女優さんとしても活躍されている彼女ですが、2017年当時は、在籍していたグループが解散して間もない頃。グラビアに挑戦する背景には、不安や葛藤もあったと思うのですが。
大原優乃『実は私、○○だったんです』
藤本 最初は緊張していた様子でしたね。子どもの頃から芸能活動をされていて、芸歴自体は長いものの、水着での撮影は初めてだったそうですから。僕も、あまり変な意識をさせないよう、細かいことは何も考えさせないように、ただただ楽しい現場作りを心がけていた記憶があります。スチールの撮影には慣れていたのか、すぐにコツを掴んでくれた印象もありましたけどね。
――楽しい現場作りというと?
藤本 一言で言うと、“バカになる”ですね。この人に撮られるんだったら楽しそうだと思わせることが大事というか。優乃ちゃんの時も、編集さんから「この人、『イェーイ!』って感じの人だから」とかなりアバウトな紹介をされた気がしますけど(笑)、本当にそういう感じなんですよ。緊張している女の子が身構えずに挑めるよう、僕もあえてラフな状態で挑む。グラビアの現場では、この深く考えない性格が良い意味で作用している気がします。
――藤本さんは現在、『EX大衆』(双葉社)で連載中の大原さんのコーナー「ここにいる。」の撮影も担当されていますよね。素直に綴られた言葉と全編フィルムカメラで撮られた写真によって、グラビアでは見られない大原さんの素に触れられる連載。公式インスタグラムでも写真が公開されていますが、とても見応えがあります。
藤本 ありがとうございます。水着グラビアではないですけど、毎回、無垢な優乃ちゃんが見られて良いですよね。それにしても、こうして定期的に撮らせてもらえる場があるのはありがたいです。改めて振り返ると、約5年前に週プレで優乃ちゃんの初グラビアを撮らせてもらった縁が繋がっているのかもしれません。本当、幸せ者ですね。
――では最後の質問です。藤本さんの今後の展望を教えてください!
藤本 具体的な話はまだできませんが、写真以外にも表現の幅を広げていきたいですね。スチール以外に動画を撮ってみるとか、仕事にしろ、趣味にしろ、全く別ジャンルのことに手を出して見るとか。写真を撮るにしても、ただ撮って見せるだけじゃなく、プリントした後の見せ方を考えていきたいなって思います。そういうのを、今いろいろ試しているところなんですが、なかなか難しくて……。曖昧な答え方になってしまってすみません。
――とんでもないです! ちなみに、表現の幅を広げたいと思われたきっかけは?
藤本 例えば、ここ数年、編集の方と打ち合わせをさせていただく時に、僕から提案させていただく内容にアップデートがないと感じる瞬間が増えてきたんですよ。「あれっ、これ1年前にも同じことを言っていたな?」みたいな。グラビアには、王道を繰り返す美学もあると思いますが、新しい発想が生まれないままカメラマンとして突き進むのは、あまり良くない気がしたんです。今は、SNSで自由に自己発信ができる時代。カメラの性能も上がってきていますし、基本的に“仕事を受ける立場”の職業とはいえ、僕なりの発想力で新しい写真の見せ方を提案していかないと、きっと通用しなくなってきますよね。
――自由な発想力は、藤本さんが特に大事にされていることですもんね。
藤本 まぁ、分かりやすくまとめるとすれば、健康第一ってところですかね。健康じゃないと、新しい挑戦もできなければ、面白い発想も生まれないですから。今日みたいに、のんびりキャンプを楽しむ時間も大事にしつつ、心身の健康を大事に、活動を続けていきますよ。……あっ、そうだ! 最後にちょっとお知らせをさせてください。今度、恵比寿のギャラリー(恵⽐寿・弘重ギャラリー)で、あまつまりなさんと写真展『楚楚』を開催させていただくことになったんですよ。過去の雑誌や写真集に掲載されたグラビアから、写真展のために撮り下ろした作品、あわせて計95点が展示されるんですけど、見に来てくださった方に驚きと新しい楽しみを与えられるよう、展示方法も工夫しています。是非、お気軽にいらしてください!
第16回ゲストは、奥山かずさやあまつまりななど、グラビアを中心に女の子のポートレートを撮り続ける田口まき氏が登場! 2022/12/2(金) 公開予定です。お楽しみに!!
藤本和典プロフィール
ふじもと・かずのり ●カメラマン。1977年生まれ、福岡県出身。
趣味=キャンプ、ゴルフ、バイク、スケボー、スキー
カメラマン・渡辺達生氏に師事し、2008年に独立。
主な作品は、手島優『Thank Yuu!』、広瀬すず『SUZU』、土屋太鳳『初戀。』、星野みなみ『いたずら』、北野日奈子『空気の色』『希望の方角』、飯田里穂『永遠と一瞬』、山崎真実『ひととき』、横山結衣『未熟な光』、阿部夢梨『ゆめり日和』、長尾しおり『少女以上、大人未満。』、あまつまりな『See-through』、東村芽依『見つけた』、高梨瑞樹『はだかんぼ。』、和泉芳怜『可憐な芳怜』、森みはる『Lastart』など。2021年には、tokyoarts galleryにて、グラビアアイドル・菜乃花とともに写真展「かわいいじゃない。」を開催。他、各誌で男性ポートレートやカレンダーなども手掛ける。