『俺のグラビアメモリー』松村邦洋 前編

誰にでも人生のどこかで夢中になり、生涯忘れることのできないアイドルや女優がいる。各界の著名な方々に、そんな特別な女性と彼女たちのグラビアにまつわるエピソードをインタビューしていく連載コラム。

今回はテレビのバラエティ番組から自身のYouTubeチャンネルまで、幅広く活動するタレントの松村邦洋さん。彼がこれまで好きになった女性タレントやアイドルは? そしてグラビアは?


ーー各界のいろいろな方に、昔好きだったアイドルのお話を聞いているんですが、松村さんは学生時代はかなりのアイドルファンだったとか。


松村 本当に大好きでしたね。中1くらいまでは勉強ばかりしてたんです。だけど当時は歌番組全盛の時代。いろいろと見だしたら、一気にアイドルオタクになっちゃって。テレビ、ラジオはもちろん、アイドル雑誌も毎月買い込んで細かくチェックしてました。なにしろ当時、デビューした人全員の事務所の住所まで覚えてましたからね。


ーー事務所の住所を! それはすごいです! 特に好きだったのは?


松村 なんといっても中森明菜さんですね。中森さんは『スター誕生』(70~80年代初頭までオンエアされてた視聴者参加型のオーディション番組)に出て、歌手になったんですけど、たまたま僕、彼女がそれに出て、山口百恵さんの「夢先案内人」を歌ってるところを見ていたんです。ものすごく清楚な雰囲気で、可愛いなと思ってね。あと僕当時、女優の坂口良子さんが好きで。坂口さんに雰囲気が似ているようにも思いました。ついでに言うと学校で好きだった子にもちょっと似ていました(笑)。


ーー一目惚れみたいな感じだったんですね。


松村 そうです。デビュー曲の「スローモーション」も彼女にぴったりの透明感のある曲でね。レコードを買っては聞き込んで、その後、ファンクラブにも入りました。ただ会員番号が1979番で。もう少し早く入っていれば、10から20番くらいだったと思うんです。でも会費の3千円が、当時の僕にはいい値段で。それは後悔しましたね。学校ではセカンドシングル「少女A」がヒットした後、「まっつん!(松村さんのこと)新人が売れるのを読むなんてさすがだな!」って、みんなに言われました。


ーーファンクラブの集いはあったんですか?


松村 山口県の田舎なんでなかったです。でも広島の「ダイイチ」って電器屋に新人の営業で来てたみたいで。行こうと思えば、行けたんですよね。それもまた後悔しちゃって。


ーーちゃんとチェックしていたんですね。松村さんが芸能界に入ってから、お目にかかったことは?


松村 何度かあります。覚えてるのは27か28歳くらいに和田アキ子さんの誕生会に行った時。毎年やるんですけど、裸になって場を盛り上げて。さぁ、着替えようと思ったら洋服がきちんと整理されてた。中森さんが畳んでくれていたんですよ。しかもわざわざ僕に「(低い声で)ご苦労様」って労ってくれて。包み込むような優しさでしたね。コンサートにもお邪魔しましたよ。行く前にテレビ局で会ったので「大きい花を出しますね」って言ったら、「(また低い声で)いいの。その代わり赤いバラを一輪だけ持ってきて」って。ちゃんと一輪だけ持っていきましたよ。知らない人からしたら、変に思われたかもしれないけど(笑)。


ーー松村さんのラジオ番組にもゲストで来られたとか。


松村 そうそう。僕の「オールナイトニッポン」が二部から一部になった時の最初のゲストで。その時は昔の曲についてたくさんしゃべってくれました。さらにその後もう一回出ていただいて。中森さんは、ご自身のラジオ番組ではあまりしゃべらなかったみたいなんですよ。僕と楽しそうに話してるのを聞いて、ニッポン放送の方は驚かれてました。僕がファンクラブに入っていたのを知ってたからたくさん話してくれたのかもしれないですね。つくづくファン想いというか。



ーーいいお話です。他に誰か好きだったアイドルはいますか?


松村 あとは浜田朱里さんですね。「レッツゴーヤング」って当時人気だった歌番組のレギュラーで、それを見てファンになりました。ちょっと大人っぽい雰囲気があって、色っぽいんです。ドラマ「赤いシリーズ」に出て、ポスト山口百恵なんて言われたくらいで。声がキレイで歌唱力があって、「さよなら好き」という曲でデビューしたんですけど、ドラマチックなメロディにのって「恋はドンファン!!」って出だしで始まるんです。少し前に、ドンファンといわれていた人が話題になりましたけど、それを聞くと、必ず浜田朱里さんを思い出しますね。


ーー浜田朱里さんは、松田聖子さん、河合奈保子さん、柏原芳恵さんと同期の80年デビューだったアイドルですよね。その三人に比べたら人気面ではあと一歩及ばずでした。


松村 そうなんですよ。でもだからこそ、自分が応援しなきゃって気持ちになって。中三の頃、地元・山口県光市の「ベストエブリ」ってショッピングモールに来たんですけどもちろん観にいきましたよ。しかも質問コーナーで当てられちゃって。緊張のあまり、真っ赤な顔して「お友達は誰ですか?」って、普通すぎる質問をしちゃいました(笑)。ちなみに答えは「香坂みゆきさんが高校の同級生です」。同期だから松田聖子さんの名前を挙げて欲しかったんですけど、力及ばずでしたね。


ーーウブというか、現在の松村さんからは想像つかないですね。


松村 いやー。当時はそんなものですよ。あ、それと浜田さんは唇が厚いんです。ちょっとぼてっとしてて。それもまたよくて。中森さんも唇が厚いんです。今だったら石原さとみさんの唇もそう。僕は厚い唇に弱いんですよ。


ーー中森さんも浜田さんも、水着グラビアは見なかったんですか?


松村 もちろん見てましたよ。中森さんは写真集を買いました。水着姿でスクーターに乗ってるカットがあって、しかもノーヘル。それがなんだか記憶に残ってます。


ーーちょっと不思議なシチュエーションですよね。


松村 あとファンクラブの会報で、お尻がアップのやたらセクシーな水着写真が載ってて。興奮したんで、学校で友達に見せたんです。そうしたら「今からこういうことをやるってことは、これからどんどん脱いでいくぞ」って。実際は逆で、どんどん売れて、水着をやらなくなっていくんですけど一緒に心配しましたね。

そういえば、写真集で覚えてるのは小泉今日子さん。「わたし、今日子」って知ってます? 半分お尻が見えちゃってるセクシーなカットがあるんですけどそれ、大切にしてたんですよ。だけど、ある日、自分の部屋で見当たらない! しかもなぜか『がくらん海峡』って漫画(80年代初頭、週プレで連載されていたバイオレンス漫画。作者は『アストロ球団』の中島徳博)の単行本が置いてあって。「交換だ!」って手紙が添えてありました(笑)。知らないうちに友達が持っていっちゃったみたいで。いやいや、オーケーした覚えないから、結局返してもらいましたけど。


ーー水着写真集を友達と楽しんでいたと(笑)。


松村邦洋

1967年生まれ 山口県出身

趣味:絵を描くこと、 Tigers関係の新聞のスクラップ 、有望なアマチュア野球選手を阪神に勧誘すること

大学生の頃、バイト先のTV局で片岡鶴太郎に認められ芸能界入りする。ビートたけしをはじめとする、従来にないものまねで一躍有名に。最近では人柄の良さ、独特の感性が評価されている。バラエティ、ドラマ、ラジオで活躍中。

公式YouTubeチャンネル『松村邦洋のタメにならないチャンネル』

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