『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』Takeo Dec. 編 最終話「おすすめを知る」 グラビアは深読みしなくていい

あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。


第5回目のゲストは、浅倉唯のデビューグラビア『かわいいが渋滞中!!』のほか、武田玲奈1st写真集『short』や川崎あや引退写真集『ジャパニーズ グラビア』など、ヤングジャンプでの撮り下ろしも数多く務めるTakeo Dec.氏。笑顔溢れる”明るいグラビア”にこだわる理由や、各作品の思い出を語ってもらった。


Takeo Dec. 作品のデジタル写真集一覧はコチラから! 


――前話の流れでいくと、ヤングジャンプでは武田玲奈さんのラスト水着グラビア(デジタル写真集『Finally...』収録)も撮影されていましたよね。ラストとはいえ、完全引退の川崎あやさんとは違い、芸能界で次のステップへ進んでいくグラビアでした。



Takeo 玲奈ちゃんは、ヤングジャンプの表紙&巻頭でグラビアデビューしてから1st写真集『short』まで、ガッツリ撮らせてもらっていました。最初は表情も固く、みんなで「あー」「いー」と言いながらほぐしていたのを思い出しますね。立派に新しいステージへと進んでくれて、嬉しい限りです。


――グラビアは、女の子が上へあがっていくためのステップだと、何度もお話してくださっていますもんね。ところで、その「あー」「いー」とは……? 


Takeo 緊張している女の子に、ゆっくり何度も「あ・い・う・え・お」と言ってもらうんですよ。すると、何度も繰り返すうちに「あれ、何でこんなこと言っているんだろう?」ってテンションがあがってきたり、同じ「あ・い・う・え・お」でもいろんな口の形になったりして、表情がほぐれていくんです。


――なるほど(笑)。確かに、誰でもできますし、何回も言っているうちに笑ってしまいそうですね。


Takeo あまり考え込ませるようなことを言うと、もっと表情が固くなってしまいますからね。たまに「何も考えずに、笑っていればいいから」と声をかける人もいますが、それがいちばん難しいというか(笑)。余計に考え込ませちゃうだけだから、それは言わない方がいいんですよね。


もし現場で気持ちが落ちてしまったら、なかなか切り替えられないだろうし、そうなるといい笑顔も撮れません。だからこそ僕は、現場では絶対にネガティブな言葉を発しちゃいけないと心に決めていて。実際、そういう類の言葉を使ったことは一度もないはずです。


――大事な心がけですね。Takeoさんが撮るグラビアから感じられる明るさの理由が分かった気がしました。


Takeo 僕は、目の前にいる女の子の“その子らしい表情”をシンプルに撮っているだけですよ。僕のフィルターを通すことで、女の子の良さが曲がってしまうのが何より嫌だから。


あんなにかわいい女の子たちが、何ページにもわたって水着姿を見せてくれているだけで、十分ありがたいじゃないですか。僕にできるのは、読者の方にもその子の魅力が伝わるよう、見たまんまのかわいさをストレートに写すことくらい。深読みするポイントは全くないですね(笑)。


――私は深読みというか、妄想を膨らませて写真集を読むタイプでして。例えば、山田南実さんの1st写真集『みなみと』では、当時18歳の山田さんが、憧れのロサンゼルスの地で刺激を受け、だんだん大人の女性へと磨かれていく……といったストーリーが、各シーンで描かれているんじゃないかと思って見ていたのですが。



Takeo あ、でも実際に「この写真集がきっかけで女優のオファーが来るといいな」って気持ちはありましたよ。それが、山田さんにとっての“上へあがっていく”ことですしね。そういう撮るうえでの思いはあっても、“隠された何か” みたいなのは特になくて。


例えば『ウォーリーをさがせ!』だと、複雑なイラストのどこかにウォーリーが隠れていますが、僕が撮る写真集に、そんな隠し要素はないんですよ。一度ウォーリーを見つけてしまったら、もう楽しむ要素がないですしね。


それに対して、女の子のかわいさは、不思議と、その日その日で違って見えてくるもの。何度でもその子の等身大のかわいらしさに会いに行けるのが写真集の醍醐味なんですよね。


――ちなみに、週プレ グラジャパ!からリリースされている作品のなかで、特に思い入れのある一冊はありますか? 



Takeo ここまでで名前が挙がっていない子だと、さくちん(安藤咲桜)かなぁ。初めて撮らせてもらったときに感じたかわいさの衝撃は、いまだに忘れられません。その後も何度か撮らせていただくなかで、編集さんに「次は長崎県の五島列島でさくちんを撮らせてください!」とお願いしたことがあって。


僕、五島列島が大好きで、撮りたいなって思う子がいると、五島に行けないか編集さんに提案することがよくあるんですよ(笑)。残念ながら、五島でのグラビアはデジタル写真集になっていないのですが、僕が撮ったデジタル写真集に『さくちん』『おかえり、ヒロイン』があるので、ぜひ見てもらいたいですね。本当に、かわいくていい子なので。あぁ、また撮らせてもらえたら嬉しいなぁ。


――そうやって過去の撮り下ろしがデジタル写真集になっていると、気軽に見返すことができていいですよね。


Takeo 誌面に載せきれなかったカットも、たくさん見てもらえますしね。ただ、逆に言えば、デジタル写真集にするために、巻末の数ページ用に撮ったグラビアのなかから80カット前後もお見せしなきゃならないときは心苦しさもあって。


ひとつのハウススタジオで、短時間で撮ったものだと、どうしても似通ったカットの連続になりかねないんですよね。1日かけてロケに行っていれば、デジタル写真集にしても見応えのある撮れ高だと思うんですけど……。もしそれで、女の子の表情が乏しく見えてしまうのなら、無理に作らなくてもいいのにと思うことは、正直あります。


――せっかくデジタル写真集にするのであれば、その一冊だけで満足感のある構成が組めた方が絶対にいいですもんね。それにしても、本当に、女の子があがることを第一に考えていらっしゃいますよね。今回、お話をお聞きするまで、Takeoさんがどういう方なのか想像できなかったんですけど、女の子とグラビアに対してものすごく愛のある方だと知れてよかったです。


Takeo 名前が英語表記だからか、初めてお会いするまでは、DJのテイ・トウワみたいな人を想像している方が多いようで(笑)。でも僕は、あんなにスタイリッシュじゃないし、予備校に通う学生のような緩いファッションで現場に行くものだから、よくビックリされます。「こんな人だったんだ」って。


――終盤にお聞きするのも何ですが……、なぜ名前を「Takeo Dec.」に?


Takeo 独立するとき、師匠に「本名じゃなくて、何か違う名前を考えなよ」と言われたんですよ。それで、夜な夜なファミレスに友達を誘って、一緒に考えてもらって。


最初は、本名が「にしたけお」だから、赤ちゃん言葉風に「にちたけお」にしようとしたんですけど、それだと「にち」って名字の人になるだけで、面白味がなかったので辞めました(笑)。最終的に、外国人が名付けそうな感じにしようって話で、誕生月の12月(December)を繋げてみたら意外と語呂がよくて。それで「Takeo Dec.」になったんですよね。


――そうだったんですね。「にちたけお」だったら、また違う印象になっていたでしょうし、名前って大事ですよね(笑)。少し話が脱線しましたが、最後に、今後の展望を教えてください!


Takeo やっぱりグラビアを撮るのが好きだから、とにかくずっと撮り続けていたいですね。女の子はあげていきたいけど、別に僕はあがっていかなくていいので、踏み台にでも何でもしてくださいって感じです(笑)。


――シンプルな展望ですね。Takeoさんらしいです。


Takeo カメラマンをはじめたときは、35歳くらいで辞めようと思っていたんですよ。それくらいの年齢に達したら、もう成長はないと思っていたから。でも(佐々木)希ちゃんと出会って、その子らしい笑顔を写す大切さを知って、考え方が変わりましたね。


撮らせていただける限り、女の子の笑顔をひたすら撮り続けていたい。展望とは違うかもしれませんが、今はその気持ちが大きいです。


第5回ゲストは、まだ名もなき頃の優香を撮った鬼才・小塚毅之さんが登場! 2022/2/4(金) 公開予定です。お楽しみに!!


Takeo Dec. 作品のデジタル写真集一覧はコチラから! 



Takeo Dec.プロフィール

たけお・でぃっせんばー●写真家。1970年生まれ、埼玉県出身。

趣味=無趣味すぎなので流行りのキャンプ始めてみました

写真家・ホンマタカシ氏に師事し、1999年に独立。

週刊プレイボーイのほか、週刊ヤングジャンプ、週刊ヤングマガジン、週刊少年サンデーなど、各誌でグラビアを撮り下ろす。主な作品は、成海璃子『12歳』、佐々木希『nozomi』、前田敦子『あっちゃん』、武田玲奈『short』、篠田麻里子『Memories』(桑島智輝氏と共著)、山田南実『みなみと』、川崎あや『ジャパニーズグラビア』、十味『とーみにこ』、沢口愛華『背伸び』、柏木由紀『Experience』、田村保乃『一歩目』など。明るく笑顔を捉えた写真が特徴で、タレントからの支持も多く集めている。

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