『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』東京祐 編 第四話「おすすめを知る」 菊地姫奈の最新写真集を手がけた氏が語る「やりたい仕事を待つより、ガンガン自主制作で表現を突き詰めていきたい」

あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。


第18回目のゲストは、2023年2月14日発売の菊地姫奈セカンド写真集『moment』でカメラマンを務める東京祐氏が登場! 週プレでは、昨年の#ババババンビ・岸みゆのグラビア(デジタル写真集『もっともっと。』)で初めて撮り下ろしが掲載されて以降、オファーが急増中。新進気鋭の若手カメラマンが語る、グラビアを撮る面白さとは。


東京祐作品のデジタル写真集一覧はコチラから!



——東さんは、現在絶賛発売中の菊地姫奈さんのセカンド写真集『moment』の撮影も担当されています。


菊地姫奈セカンド写真集『moment』


 菊地さんって、スゴくフォトジェニックな方ですよね。グラビアとか水着とか関係なく、とにかく写る才能に長けた方だと感じていたので、カメラマンとして、いつか撮らせていただきたかった女のコでした。お話をいただいたときは、率直にうれしかったですね。僕自身、(紙版としての)本格的な水着グラビア写真集は初めてになるので、そういう意味でも喜びは大きかったです。


——3月に高校卒業を控える菊地さんのラスト制服を収めた写真集でもあります。爽やかだけど、少しオトナっぽくて。今の菊地さんの等身大がありありと捉えられていると感じましたよ。


 ありがとうございます。“高校生らしさ”みたいなものは、何となく意識していたかもしれないです。具体的なテーマは、ハッキリ覚えていないけど(笑)。


——東さん的に、印象的だったシーンはありますか?


 うーん、そうですねぇ。この野球場のシーンは、僕と編集さんが野球好きで、たまたま運転中にグラウンドを見つけたことから急遽撮ることになったんですよ。菊地さんには申し訳ないけど、僕と編集さんでしばらくキャッチボールをしていた時間があるくらい、ふたりで盛り上がっちゃって(笑)。結果的に、かわいいカットが撮れたので良かったですけど。


菊地姫奈セカンド写真集『moment』


——何やっているんですか! まぁ、それだけゆったりとしたチームワークで撮影できたってことなんでしょうけど(笑)。撮っていて、ビビビッときた瞬間とかはなかったですか?


 あると思うんですけど、正直、あまり過去を振り返らない主義と言いますか。撮影中の感覚は、ほとんど覚えていないんですよね。たまに「いちばん楽しかった撮影は?」と聞かれることがありますが、ファッションもグラビアも、何なら雑誌の数ページも写真集も関係なく、全部楽しいですもん。ただ、もともと根拠のない自信を持っていた私も、今となっては根拠のある不安ばかりを抱えているので(笑)、自分が撮った写真集を見返したり、撮影を振り返ったりすると、後悔の念が出てきてしまうんです。だから、完成した直後にザッと見返して「はい、素晴らしい!」と自画自賛して、どんどん次の撮影に気持ちを向けていきたい。“いちばん楽しかった撮影”も、本音で答えるならば「明日の撮影が楽しみです」となっちゃいますね(笑)。


——な、なるほど。


 まぁ、私が言うまでもなく、菊地さんはかわいいじゃないですか。スタイルも素敵だし。写真集を見ていただければ、私が現場で感じた菊地さんの魅力が余すことなく伝わると思います。しかも、まだ18歳ですよね? これからどんな女性になられていくのか、楽しみで仕方がないですよ。


——ちなみに前話では、もともとファッションからキャリアをスタートさせた東さんの初めてのグラビア撮影の話をうかがいました。レジェンドグラドルふたりの撮影だったり、ヌーディな現場だったり、挑戦も多いとのことでしたが、東さんらしい感性が活かされているグラビアというと、何があげられますかね?


 自分の得意なスタイルが活かせたのは、最近だと冴木柚葉さんですかね。冴木さんとは、どことなく気が合う感じがしたのもあって、スゴく撮りやすかったです。わりとファッションの撮影に近い感覚でいられたような気がしますね。


冴木柚葉『抱きしめたい』


——昨年(2022年)12月、週プレに初登場された冴木さんのデジタル写真集は、同月の月間ランキングで1位を獲得するなど、話題性とともにヒットを記録しました。おしゃれな世界観が広がる一冊でしたね。


 あと、大久保桜子さんの『Dearest』も、私のエッセンスが強いグラビアになっているんじゃないかと思います。そうそう、お恥ずかしながら、私はニット素材の衣服を頭に乗せさせがちらしく(笑)。この大久保さんのグラビアでも、脱いだ靴下を頭に乗せているカットがあるんですよね。さっきの冴木さんのカットも、ニットではないにしろシーツを被せているし……。何なんでしょうね。


大久保桜子『Dearest』


——そういえば、前話で紹介されていた岸みゆさんの扉カットも、ニットを頭に被せていたような。かわいいですけどね(笑)。それでは最後に、今後の展望を教えてもらえますか?


 とにかく止まらない、ですかね。毎日のように作品撮りをして、頻繁に写真展を開いていた駆け出しの頃と同じようにはできなくても、それくらいの気持ちで、自分が思う表現を突き詰めてやっていきたいです。例えば、いま「人色」という独自のウェブマガジンをやっていて。気になる女優さんやモデルさんにお声がけして写真を撮らせてもらっているんですけど、継続はもちろん、もう少しアップグレードしたメディアにしていけたらと、ぼんやり考えているところなんです。グラビアも1年ほどやらせてもらってきたし、もっと自分の中に取り入れていきたいというか。根本的に、やりたいことは、誰かから環境を与えられるのを待つより、ガンガン自分でやっていきたいと思う性格なので、お仕事は続けつつも、自主的な写真活動も精力的に行なっていきたいですね。駆け出しの頃と違って、今はプロフェッショナルな協力者たちが、周りにたくさんいるわけだし。


——お仕事が忙しくなると、どうしても自主的な制作活動が疎かになってしまう中、そういった意識を持たれて、実際にウェブマガジンを運営されているのは素敵だと思います。


 仕事で自分の表現を出しきれたら、それがいちばん良いのかもしれません。でも仕事を受けている時点で、自分以外の誰かが考えた企画なわけですし、それは自分の中から出てきた表現ではないんですよね。ゼロベースから表現を考えるって、ものすごく大変なんですけど、そのぶん自分が思う表現に近づけられる楽しさもある。逆にお仕事以外に活動の場所がないと、私はストレスが溜まってしまう気がしますよ。


——自己表現の先に“伝えたい思い”みたいなものはありますか?


 僕が良いと感じた世界を共有したいだけですね。美味しいご飯屋さんを見つけたとき、誰かに教えてたくなるのと同じ。社会的なメッセージなんて何もないし、単純に「何か良いよね」と思える感覚を、見てくれる人たちに再確認してもらえたら何よりです。欲を言えば、「東京祐の写真だ」と誰もが一発で分かる写真を目指したいですけど。


——その自主制作が、グラビアにどう活きるかにも期待させてください!


 私的には、グラビアって今がいちばん面白い気がするんですよ。私含め、いわゆる“グラビアっぽくない”カメラマンでも参入しやすい扉が開いてきた感じがするじゃないですか。ファッションや音楽業界で活躍しているカメラマンがグラビアを撮って、それが評価されるようになってきたのは、カルチャーとして良い意味で過渡期を迎えているってことだと捉えています。今後、ますますグラビアが面白くなっていく予感がしますよ。……まぁ、私の撮るグラビアはエロくなり過ぎないところがあるので、そういうのばかりになっちゃうのは良くないですけど(笑)。


——いやいや、そんなことないですよ(笑)。


 と、いろいろ語らせていただきましたが、私、プライベートでカメラを持ち歩くのはあまり好きじゃないんです。旅先での写真もスマホで撮りますし。撮影がないときは、いったん写真を忘れて休む。撮りたいときは、撮らせてもらいたい人に声をかけるなどして理由を自ら作る。カメラマンとしては意識が低いのかもしれないけど、私はそれくらいがいちばんちょうど良いと思っています。


第19回ゲストは、3月発売のえなこカレンダーブックの撮影を手がけるカノウリョウマ氏が登場! 2023/3/10(金) 公開予定です。お楽しみに!!


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東京祐プロフィール

あずま・きょうすけ ●カメラマン。1989年生まれ、北海道出身。

趣味=ゲーム、アニメ鑑賞、キャンプ、スノボ、料理、愛犬の散歩など

2023年2月14日に発売される菊地姫奈セカンド写真集「moment」を手掛けたほか、主な作品は、上白石萌歌「まばたき」、梅澤美波「夢の近く」、山田杏奈「BLUE」、新内眞衣「夜が明けたら」、松下玲緒菜「in the seasons」、守屋麗奈「笑顔のグー、チョキ、パー」、三品瑠香「ひととき」、秋元真夏「振り返れば、乃木坂」など。プライベートワークとして、女優・モデルなどのポートレートを掲載するWeb Magazine「人色」を月1で更新中。

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