『グラビアの読みかたーWPBカメラマンインタビューズー』カノウリョウマ 編 第四話「おすすめを知る」 えなこのカレンダーブックを手掛けた氏が語るグラビアの醍醐味「やっぱり、自分が撮った写真が表紙に使われるのは嬉しいです」

あまり表に出ることのないカメラマンに焦点を当て、そのルーツ、印象的な仕事、熱き想いを徹底追究していく本コラム。“カメラマン側から見た視点”が語られることで、グラビアの新たな魅力に迫る。週プレに縁の深い人物が月一ゲストとして登場し、全4回にわたってお送りする。


第19回目のゲストは、2023年3月22日発売の『えなこカレンダーブック 2023.4~2024.3』でカメラマンを務めるカノウリョウマ氏が登場。明るく現場を盛り上げるカメラマン・LUCKMAN氏に師事し、現在はグラビアを初め、ポートレート写真を中心に活動している彼が語る、仕事、写真への思いとは。


カノウリョウマ作品のデジタル写真集一覧はコチラから!



——3月22日に発売されたえなこさんのカレンダーブック『えなこカレンダーブック 2023.4~2024.3』の撮影はいかがでしたか? 


えなこ『えなこカレンダーブック 2023.4~2024.3』


カノウ えなこさんがカレンダーブックを出されるのは実に2年ぶり。しかも、その前のカレンダーブック(『えなこカレンダーブック 2020.4-2021.3』、『えなこカレンダーブック 2021.4-2022.3』)では、僕の師匠である樂滿(直城・LUCKMAN)さんがカメラマンを担当されていたんです。カレンダーブック以外にも、何度もえなこさんを撮影されている樂滿さんとは違った視点で、僕なりのアプローチで撮影することを意識しました。そういう意味では、程よい緊張感がありましたね。


——カレンダーブックということで、四季折々の妄想休日デートをテーマに撮影されたんですよね。アザーカットをまとめたデジタル写真集『オフの日、えなこと何する?』も、スゴく見応えがありました。


えなこ『オフの日、えなこと何する?』


カノウ ありがとうございます。春はピクニック、夏は海、秋はスポーツ、冬は温泉……と、一年を通して楽しんでいただけるよう、いろんなシチュエーションで撮影をさせていただきました。僕は趣味がサウナなんですが、えなこさんもちょうどプライベートでサウナにハマっているらしく(笑)。キュートなサウナシーンも見どころとなっています。是非、チェックしてもらいたいです。


——他にも、「週プレ グラジャパ!」からリリースされているデジタル写真集の中で、お気に入りの作品があれば教えていただけますか?


カノウ 昨年、ヤンジャンで三度も撮らせていただいた高田里穂さんのグラビアは、どの作品もスゴく気に入っていますね。しかも、その全てが表紙の撮影だったんです(2022年3月24日発売の『週刊ヤングジャンプ』17号で初表紙に抜擢。その際のアザーカットは、デジタル写真集『お姉さんが大好きだ!』に収録されている)。やっぱり自分が撮った写真が表紙に使われるのは嬉しいものです。スゴく思い入れがありますし、毎回気合いも入りました。


高田里穂『お姉さんが大好きだ!』


——高田さんといえば、2021年に発売された週プレの「仮面ライダーヒロイン特集号(39・40合併号)」で11年ぶりに披露したグラビアが大反響を呼んだことをきっかけに、昨年10月に『完成された未完成』(集英社)が発売されるまでの約1年間、グラビアシーンを駆け抜けられたのが記憶に新しいです。ヤンジャンでも大活躍されていましたよね。


カノウ 貴重な1年の間に、何度も撮らせてもらえて本当にありがたかったです。とはいえ高田さんは、まだ28歳とお若いものの、中学生の頃から芸能活動をされている方だし、芸歴も長いじゃないですか。「カメラマンとしては若手な僕が撮らせていただいて大丈夫だろうか?」と、最初は僕の方が緊張してしまっていて。でも、そんな僕に対しても、高田さんはオープンに接してくださったんです。何というか、スタッフとの距離感やコミュニケーションの取り方が絶妙に上手なんですよね。変に気を遣うことなく、現場にいる全員が伸び伸びと意見を出し合える空気感がありました。どの現場も、スゴく充実していましたよ。


——高田さんの親しみやすさが、より良い現場の雰囲気を作っていかれたんですね。


カノウ あと、もう一冊。ヤンジャンで撮らせてもらった元HKT48の松本日向ちゃんのデジタル写真集『The Dream Goes On』も気に入っていますね。アイドル卒業後初めてのグラビアだったそうなのですが、ものすごくグラビアにハマる表現力をお持ちだったというか。撮っていて楽しかったです。


松本日向『The Dream Goes On』


——ありがとうございます。もともとカノウさんがグラビアの世界に足を踏み入れられたのは、“仕事としての写真”についても学んでおきたかったことがきっかけだったとうかがいましたが、ここまでお話を聞かせていただくと、今やグラビアに対してアツい情熱をお持ちですよね。


カノウ アハハ。今思うと、グラビアのカメラマンになって本当に良かったです。専門学校に進学した当初は、グラフィックデザイナーになるつもりだったわけですけど、仕事として考えると、デザインの世界では、納品の最後の最後まで細かい修正が発生するじゃないですか。それに対して写真は、撮った時点で大方が完成される世界。撮り直しが通用しない怖さがある反面、瞬間的な集中力が求められる感じは、自分の性格的にも合っていたように思います。限られた時間の中で、女の子とコミュニケーションを取りながら表情を撮っていく。このライブ感も楽しいですしね。


——個人的な意見ですが、ここ1〜2年でカノウさんが撮るグラビアが変わってきつつあるように感じます。以前は、比較的明るい印象の写真が多かったのが、だんだん、カノウさんの思いが素直に乗っかった写真が増えた気がするんですよね。


カノウ そうですか。ありがとうございます。多分、「こうしなきゃいけない」って感覚が、徐々に取り払われてきたのかもしれないですね。実際、「グラビアは明るくなくちゃいけない」なんて決まりはないわけだし。師匠の写真に似るのは、アシスタントあるあるだと思うんですけど、むしろ最近は「えっ、カノウくんってLUCKMANさんのお弟子さんだったの?」と驚かれることが多いんです。独立したばかりの頃は、LUCKMANさんから受けた影響が大きかったし、媒体や編集さんが持っているイメージに合わせにいきがちだったけど、今は、「僕が良いと思う写真を撮ろう」という意識を強く持てています。いろんな経験をさせていただいて、自信が持てるようになったんでしょうね。まだまだ先輩方と肩を並べられるほどではないものの、少しずつ、僕らしい色が出せているのだとしたら、われながら、良い変化だと思います。


——これからまた、どんなグラビアを撮られていくのか楽しみになってきました。では最後に、今後の展望を教えてください。


カノウ グラビアの枠にこだわらず、もっと自由に、仕事もプライベートも関係なく、とにかく“写真”を撮っていきたいですね。もちろん、グラビアをメインに頑張っていくつもりですが、同じ引き出しだけでは、この先何十年と戦っていけないですから。持ち前の負けず嫌い精神で、編集さん、タレントさん、そして読者の皆さんに面白がっていただけるような写真を目指して、日々精進します!


第20回ゲストは、Instagramで公開中のフィルムを使った作品撮りが話題(!?)の矢西誠二氏が登場! 2023/4/7(金) 公開予定です。お楽しみに!!


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カノウリョウマプロフィール

かのう・りょうま ●カメラマン。1988年生まれ、東京都出身。

趣味=サウナ、猫と遊ぶこと

カメラマン・LUCKMAN(樂滿直城)氏に師事し、2016年に独立。

2023年3月22日発売の「えなこカレンダーブック 2023.4~2024.3」を手掛けているほか、宮内凛「凛と」、松田美里「となりがいい」、澄田綾乃「PURITY 」、本郷柚巴「2nd写真集(仮)」、金子隼也「Be Myself」などの写真集を撮影。スタジオマン時代、アシスタント時代に、第5回、第10回写真「1_wall」展にて入選。プライベートワークに、キューバで撮影した写真を編纂した「TRINIDAD(トリニダード)」がある(2020年12月に高円寺「GALLERY33」で同タイトルの個展を開催した)。

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