『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第3回前編 片山萌美

「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、女優、タレント、アイドルなど、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生でたった一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いをこと細かに綴る連載シリーズ。

今回は、カンヌ国際映画祭でパルムドール最高賞に輝いた是枝裕和監督作『万引き家族』に出演し、その熱演ぶりが絶賛されたことも記憶に新しい女優・片山萌美さんが登場。

彼女は『週刊プレイボーイ』の2014年39号に初登場。誌面には『見つけてしまった……』のタイトルのもと、プロフィールを含め一切の情報は無く、明記されていたのは女優であることだけ。果たして彼女は誰なのか。読者や業界関係者は情報を求め騒然となりました。

片山さんは一体、どんな経緯で「週刊プレイボーイ」のグラビアへ登場したのか。また当時はどんな思いを抱いていたのか。話を聞きました。



ーー片山さんは2014年、週刊プレイボーイ39号(9月29日号)に登場し、初グラビアを披露していただきました。誌面には細かい情報はなく「女優」とだけ書かれていましたが、当時はどのような活動をされてたんですか?


片山 小さい舞台に出てはいたけど、女優らしい活動はまだほとんどしてなかったです。どちらかといえばまだ「女優志望」って感じです。普段は、毎朝6時から9時までカフェのバイトをして、その後にオーディション。オーディションのない日は、さらに11時から夜の23時までレストランでバイト。そんな毎日を送っていました。相当な数のオーディションを受けましたよ。


ーー幼い頃から女優を目指していたんですか?


片山 いえ、私はもともとモデル志望だったんですよ。19歳から事務所のモデル養成所に通っていました。大学生の頃は、「ミス日本」コンテストに出場して、ミスネイチャーという賞を受賞させていただいたこともあります。でもプロのモデルになるのはなかなか難しくて。

女優を志したのは事務所の紹介で小さな舞台に出たのがきっかけです。目の前でお客さんが楽しんでくれてるのが嬉しかったんです。それで女優への夢が膨らんでいきました。その後は舞台とか映像にちょっとですけど出るようになりました。



ーー週プレのグラビアはどんな経緯で出ることになったんですか?


片山 当時、新しく就いたマネージャーが知り合いを通じ、編集部に売り込んでくれたんです。私が世に出るきっかけを探してくれて、それがグラビアじゃないかって。また出るなら、多くの業界関係者が読んでる週プレさんがいいだろうと。そうしたら編集部の方が興味を持ってくれたみたいで。でも最初は「私がグラビアに出ていいのかな?」って思ったんですよね。


ーーというと?


片山 私の中でグラビアは、10代の女のコが海とかではしゃいでいるイメージ。その当時、私はもう23歳でしたから。


ーー水着になることに抵抗があったとか?


片山 その時点ではまだそこまで具体的には考えてなかったです。ただその頃は焦りがあって。もしかしたらモデルにも女優にもなれないまま、このまま年を重ねてしまうんじゃないかって。もし今後に繋がるならなんでもやろうと思いました。


ーー初めて週プレ編集部に行った時の印象は?


片山 すごく緊張しました。グラビアなんて、それまでまったく考えたこともない世界でしたからね。


ーーマネージャーさんによれば「脚を長く見せるため、ミニスカートでいったほうがいいかな?」と相談されたとか。


片山 そうでしたっけ(笑)。何を話したか忘れたけど、編集さんからは「これまでよくグラビアをやってなかったですね」と言われたのは覚えてます。


ーーその後の人気を考えたら、確かにそう思いますよね。実際にグラビアのお話は?


片山 じつはイエローキャブさんのオーディションに誘われてたことがありました。養成所にはいろんな事務所からお話がくるんですけど、その中のひとつで。小池栄子さんが所属されてた事務所だし興味はあったんですけど、養成所のスタッフが「女優志望だからこれはいいよね」って断っちゃって(笑)。


ーー行ってたらまた違ってたかもしれません。週プレの顔見せの後は、グラビアに慣れてもらうため、片山さんに合った撮影方法やメイクや衣装の方向性を決めるためにテストシュートをしたそうですね。


片山 はい。集英社さんのスタジオで数ポーズ撮影したんですけど、ずっと緊張してました。ガチガチです。グラビアって、養成所で習うような「背筋をピンとして!」みたいなポージングとは違うじゃないですか。どう動けばいいかさっぱりわからない。カメラマンさんの指示を一言でも聞き逃すまいと必死でした。



テストシュートを収めたデジタル写真集『Test Shoot Katayama Moemi 2014』(撮影/唐木貴央、7月5日[月]グラジャパ!ほか主要電子書店で発売)より


ーー衣装はどうでした?


片山 いわゆるグラビアの露出のある衣装は初めてだったので、やはり恥ずかしかったです。でも可愛いデザインのものばかりだったんで、途中からやわらぎましたけどね。


ーーグラビアの現場って「可愛い!」って声が飛び交いますよね。普段、面と向かってそう言われることは少ないと思いますけど、それはどうでした?


片山 それはもう嬉しかったです(笑)。すべてのスタッフさんが自分をキレイにしてくれて、たくさん褒めてくれる。そんなこと生まれて初めてですから。「なんて素晴らしい現場なんだろう!」と感激しました。しかも、写真を見せてもらったらすごくキレイで、見たことのない自分が写ってる。グラビアってすごいなって本当に思いましたね。そのうちの一枚は気に入りすぎて、割と最近まで自分のSNSのプロフィールで使っていたくらいです。


*第3回後編は、7月7日(水)配信予定です


* * *


週刊プレイボーイ・担当編集が語る、片山萌美さんの初グラビア


片山さんは最初、知人を通じて「是非会って検討して欲しい人がいる」と事務所の方を紹介をしてもらいました。事前に「片山萌美」という名前だけは聞いていたので、本人が顔合わせにくる前日にネットで検索しましたのを覚えてます。彼女がミス日本コンテストでミス日本「ネイチャー」を受賞したときの動画や過去のスナップの写真が中心だったと思います。

その時はシンプルに不思議な人だなって印象でした。童顔であどけなく見えるんだけど、メイクによっては大人っぽくも見えたりする。背が高くて、スタイルが素晴らしく、モデルみたいでもあるんだけど、本業がモデルでもないみたいで。一体どんな人なんだろう、普段、何をやってる方なのかなって。すごく気になりました。

ご本人と初めてお会いした時も、変わらず不思議な方だなって印象でしたね。プロフィール的なことはともかく、日本人っぽい幼い顔立ちなのに、外国人のような迫力のあるスタイルだし。表情に可愛らしい雰囲気があるんだけど、話してみるとサバサバしていていい意味で男っぽい。何かとギャップがすごかったんですよね。

初グラビアをどう撮影するかを考えるため、テストシュートを行なったんですが、それを通じて思ったのも、「ギャップのすごさ」と「何者かわからない感じ」。それを、そのまま彼女の魅力として表現できたらなと思いました。本来、グラビアって女のコの一枚の写真を見て、そこから想像を膨らませて胸をときめかせるものだと思うんです。その時に、肩書きもキャッチフレーズもなく、読者に想像してもらい、グラビアの中の彼女に恋してもらえたらって思ったんです。もちろんそれは彼女の説得力のある圧倒的なビジュアルがあるからこそ成立することなんですけどね。

初グラビアのロケ地は長野県・上田でした。クラッシックな洋館、畳敷きの和室、温泉、プール、草原……イメージが固定されないよう、敢えて統一感のないバラエティに富んだシチュエーションで撮影をしました。片山さんはグラビアが初めてということで緊張していたと思いますけど、スタッフも驚くような素晴らしい姿を見せてくれました。



誌面もその「わからなさ」を表現する形で構成しました。通常のグラビアであれば扉にモデルの名前があり、人物の素性のわかるやリードや、その魅力を表現したネームがあり、最後のページにより詳しいプロフィールがあるんですけど、その形式を思い切ってなしにしました。扉には「見つけてしまった……」とシンプルなキャプションだけではじまり、最後に「彼女の名前は片山萌美」とだけ。プロフィールも最小限です。ここからスタートする彼女の物語を期待させる映画の予告編のようなイメージで初グラビアを作りましたね。

一番好きなカットは、やはり扉の写真です。温泉に浸かっている片山さんが微笑みを浮かべていカット。「あどけなさ」と「大人っぽさ」の相反する魅力が絶妙なバランスで入り混じっているというか。トータル7ページのグラビアがここに集約されている気がします。

誌面の反響もすごかったです。普段あまりないんですが、週プレ編集部のスタッフや他メディアのスタッフからも「彼女はどんな人?」と聞かれました。過去にないくらい読者からの問合せも多かったと思います。それで片山さんの存在感と魅力を実感したのを覚えてます。

彼女の魅力ですか? その後、何度もグラビア撮影をさせていただいて、片山さんのことも段々わかってきた上でいうと、飾らないまっすぐな性格とハートの強さですね。いつも気負うことなく自然体でカメラの前に立てるし、どんなリクエストにも応えてみせる。例えば「火の上を歩いてみて」ってカメラマンにお願いされたら、本当に歩いてしまいそうな感じです。

一度、カメラマンのリクエストで田んぼの中で泥にまみるという撮影があったんですけど、その時は足を怪我するんじゃないかってくらい思い切りがよく暴れてくださってこっちがドキドキしました(デジタル写真集『覚醒』に収録)。初グラビアの時も緊張や不安はあったでしょうけど結果、堂々としていますし、きっと肝の座り方がすごいんでしょうね。

グラビアでそして映画やドラマで、これからの活動にもますます期待したいです。


初グラビアを収録したデジタル写真集

<デジタル週プレ写真集> 片山萌美「見つけてしまった……」

撮影/唐木貴央 価格/1320円(税込)


片山萌美(Moemi KATAYAMA)

1990年10月1日生まれ 東京都出身

身長170㎝ B92 W59 H87

血液型=AB型 趣味=B’z、読書、映画鑑賞

公式Twitter【@neichiamo】

公式Instagram【@moet_mi】

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