『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第5回後編 井口綾子

「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の最前線で活躍する女性たち。彼女たちの人生でたった一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いをこと細かに綴る連載シリーズ。


今回は、タレント・井口綾子さん。週刊プレイボーイの2018年38号に初グラビア・初表紙という形で初登場。その開放的なグラビアは大きな反響を呼びました。


今回はいよいよ撮影について。初めての撮影は、新人としては破格のグアムロケ。果たして彼女は無事にロケを終えたのか。そして本誌が出て、周囲の反応は? 当時の想いととも語ってもらいました。


週刊プレイボーイ2018年38号(撮影/熊谷貫)より


ーーグアムについたときの印象は? わくわくしました?


井口 いやいや、とんでもない。そんな余裕なかったですよ。初めてのグラビアだし、「うわー、ついに着いちゃった!」って感じ。かなりドキドキしてました。


ーー担当編集に聞いたところ、井口さんはホテルに到着するや、すぐさま指を怪我したそうですね?


井口 あーっ、した! しました! よく覚えてますね! 確か窓を開けようとしたら、指をはさんじゃって(笑)。海の撮影の時、海水で痛かった記憶があります。


ーー現地に着いて、「さぁ、行くぞ!」って時に、いきなり怪我するタレントさんって、そんなの聞いたことのない気が(苦笑)。


井口 本当にそうですよね。バカだよなぁ、私(笑)!


ーー撮影はどうでした?


井口 とにかく緊張しましたよ! 表情も体もどうしたらキレイに写るかわからないじゃないですか。「自然に」って言われるんだけど、それって一番難しいじゃないですか。もう頭が真っ白になりました。


ーー事前にグラビアの研究はしてきたんでしょ?


井口 はい。週プレさんのバックナンバーを見て、チェックしたり。その時に見たポージングとかやりましたけど、正しいかはわからないじゃないですから。「これで、大丈夫ですか?」って何度も聞いてましたね。


ーーその時のカメラマンは熊谷貫さんですよね。初グラビアの女のコには細かく指導をしてくれることで、定評のある方です。


井口 熊谷さんには、いろんなことを教えていただきました。横たわる時は、片足だけ伸ばすとキレイに見えるよみたいな。すべてが具体的でわかりやすかったです。あとうまくできなくても、優しく褒めてくれるんです。それで少しづつかたさがほぐれていきましたね。


ーー印象に残ってるシーンは?


井口 やっぱり最初に水着になったところと、夕日のシーンですね。大人っぽい表情を撮ってもらうことはそれまでなかったので。後で写真を見たら「え?これが自分?」ってびっくりしました。あとはワンピースのカット。普段の自分っぽくて好きですね。撮影自体はこういう風に言っちゃうとアレかもしれないですけど、慣れていくうち遊びに行った感覚に近くて。最終的にはずっと笑顔でした(笑)。


週刊プレイボーイ2018年38号(撮影/熊谷貫)より


ーーちなみに、また担当編集によれば、井口さんは初日から日焼けして、大変だったそうですね。火傷みたいに赤くなっちゃったって。


井口 あー! そう! そうでした! それもよく覚えてますね! 人前で水着になったことがなかったから、腕はともかく体に日焼け止めを塗ったことがなくて。胸元とかものすごく焼けました! もうずっと痛くて!


ーー初日から指を怪我して、今度は過度の日焼け!


井口 いまさらですけど本当に申し訳なかったです。グラビアを見返すと、ものすごく赤いのもありますよね。あの日焼け痕、その年の冬までずっと残ってました(笑)。


ーーそして、ついに本誌の発売となるわけですが、自分の表紙の誌面を見た時はどんな気分でした?


井口 最初は近所のコンビニで見たんですけど、かなりドキッとしましたね。「うわ! 自分がいる!」って。でも段々、実感がわいてきて、嬉しくなりました。


ーー自分の表紙の週プレを書棚の前に出したりとか?


井口 それはやらなかったです。2回目に表紙になった時はやりましたけど(笑)。


ーーページを開いて見た感想は?


井口 いや~、もう感動しましたよ。キレイに撮っていただいてるし、あとあんな風にみんなでロケしてきたものが、8ページの作品として世に出るんだなって。それにじ~んと来ちゃって。タイトルとか写真の横についている文字も好きでしたね。


ーータイトルは「見つめたいくせに」。なんだかドキッとしますね(笑)。


井口 最初、見た時はちょっとびっくりしたけど(笑)、素敵ですよね。また写真の横には「間違いなく平成最後のグラビアプリンセス。その愛嬌とスタイルで突き進む。」とか書いていただいて。こういう文字って、後で聞いたんですけど、編集さんからのラブレターらしいんですよね。自分をイメージしてつけてくれたことに、感激しちゃって。


週プレ プラス!+アーカイブス『見つめたいクセに』(撮影/熊谷貫)より


ーーこの号の週プレはものすごい反響でした。また週プレnetも話題になりました。


井口 らしいですね。それを聞いた時はほっとしました。あれだけいろいろやっていただいて反応がなかったら申し訳ないじゃないですか。気が気じゃなくて。


ーーちゃんと本誌のことも考えてくれたんですね。


井口 もちろんですよ! 私もSNSのフォロワーが一気に3万人くらい増えました。あと学校の友達も買ってくれたし、あと他大学の人までわざわざ学校に来てサインを求めてくれたり(笑)。いろんな方面にわたり、仕事で結果を出せたのは本当に嬉しかったです。


ーータレントさんたちの間でも話題になったみたいですね。土田晃之さんがラジオでコメントしてくれてました。


井口 そう! そうなんです! それもめちゃくちゃ嬉しかったです! それまでずっと見てきた芸能人の方々がグラビアを通じて、私のことを知ってくれてるんだって! 夢のような話です!


ーー初グラビアって、いざ出ると、その反応の大きさに怯えちゃう思う人もいますけど、井口さんは嬉しくて仕方なかったんですね。


井口 もちろん! このグラビア撮影の前にバラエテイで1~2度仕事させていただいたんですけど、その時は大勢の中の一人だったんです。でもグラビアでは井口綾子としてフィーチャーしていただいたわけで。自分に自信がついたし、何より芸能界の入口に立った実感がしました。


ーーそもそも小学生の頃から憧れてた芸能界ですもんね。


井口 そうなんです! 大袈裟じゃなく、目の前の景色が変わりましたよ! よ~し、これから頑張るぞって気持ちになったし。


ーーちなみにこの半年後、井口さんはファースト写真集をリリースしますが、その時の週プレで書かれたのが、井口さんの代名詞となった「モッツアレラボディ」! このネーミングはどう思いました?


井口 最初、見た時はびっくりしましたよ。「えーっ? モッツアレラ? 何それ?」って(笑)。そんな風に言われたことないし。でもそんな呼び名を考えてくれて、私を覚えてもらいやすくしてくださったわけですからね。嬉しかったです。いろんなところで、「モッツアレラボディ!」って言われました!


ーーまだそうは呼ばれてなかったけど、初グラビアも「モッツアレラ」らしい色白で、いい意味でのムッチリ感がありますね。


井口 うふふふ。この時は少しでもキレイな体を作ろうと、生まれて初めてジムに行って、筋トレしたんです。ほかにも炭水化物を我慢したり、お酒を断ったり。まだまだだったけど、それでも結果がでて、もっと頑張ろう!ってモチベーションになりましたね。


週プレ プラス!+アーカイブス『見つめたいクセに』(撮影/熊谷貫)より


ーー井口さんが考えるグラビアの面白さは?


井口 やっぱり、いつも知らない自分が見られること。初グラビアの時もそうでしたけど、大人っぽい自分がいたり、思っていた以上にキレイな自分がいたり(笑)。誌面を見る度、びっくりします。最近は週プレさんで『ONE PIECE』のセニョール・ピンクのコスプレグラビアを撮影したんですが、それがまたすごく楽しくて。こんな面白い自分もいるんだ!って笑っちゃいました。まだまだいろんな自分がいそうです。


ーーそれでは最後に井口さんにとって初グラビアとは?


井口 人生の分岐点です。これがあったから芸能界の入口に立てたし、男性ファンが増え、仕事の幅も広がりました。さらに憧れてたバラエティにも出られたし、写真集も出せたし。もう感謝しかないですね。今もたまに思うんですよ。本当にあの時、グラビアに挑戦してよかったなって!


*第6回前編は、8月25日(水)配信予定です


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カメラマン・熊谷 貫氏が語る井口綾子の初グラビア


いのあや(井口綾子)と初めて会ったのは確か衣装合わせの時です。まだ事務所に入って間もない頃で、全身から女子大生らしい雰囲気が漂ってました。少しだけ話しかけたら、やたらハキハキしていて。いま思えば、しっかりした姿を見せようとして、ちょっと力が入っていたのかもしれないけど、「これから芸能の仕事を頑張ります!」って初々しさを感じましたね。

撮影はグアムで行いました。彼女は顔立ちもスタイルもよく、何もしなくても十分に絵になるので直球でいこうと、週プレの担当編集と決めました。それに初グラビアですから。彼女の魅力をそのまま届けられたらと思ったんです。

撮影時のいのあや? 最初はかなり緊張していました。ぎこちなかったし、表情も硬かったし。でも他愛のない話しをしたり、立ち方とか基本的なことを教えているうちに徐々に慣れてきて。気づいたら、楽しそうにやってました。素直な性格だから、こちらも声をかけやすかったです。

特に印象に残っているのは、グリーンの水着のシーン。確か撮影初日、4つ目の衣装で、お昼をはさんで撮影したのかな。見てもらえばわかりますけど、胸元の肌が日焼けしているんです。じつは本人が日焼け止めを塗り忘れちゃって。すごく赤くなってるから、みんなびっくりしたんだけど、本人は「え? 本当に?」みたいな(笑)。

身体の前面は自分で塗る様に日焼け止めも渡していたのですけどね。しっかりしているように見えてじつは天然というか、思わず笑っちゃいました。その日焼け事件のおかげで、彼女も一気にスタッフと打ち解け、一体感が増しました。最後までいい雰囲気の中で撮影できましたね。


週プレ プラス!+アーカイブス『見つめたいクセに』(撮影/熊谷貫)より


僕が思う彼女の魅力? やっぱり人懐っこさですよね。その天然なキャラもあって何かとみんな、いじりたくなるんです。で「ちょっと!」みたくムキになったりするんですけど、決していじけたりするわけじゃないし、愛嬌がある。それがすごく可愛いというか。

これは初グラビアじゃなくて、写真集(『いのあや』)の撮影の話ですけど、ビーチで走ってもらうシーンがあったんです。でもその走り方がぎこちなくて。みんなから突っ込まれたら「普段はもっとキレイに走るんです!」って反論するんだけど、そんな風にムキになることでまた沸くというか。そのシーンは写真集に掲載されてるんで是非見てほしいですけど、一事が万事そんな感じ。彼女がいるとみんな楽しい気持ちになるし、雰囲気が明るくなるんですよね。

あれから3年が経って、しばらくご無沙汰だけど、久々にまた撮影したいですね。きっと仕事のキャリアも増え、大人っぽくなったんじゃないかな。表情のバリエーションだって増えただろうし、自分のキレイな見せ方だって覚えただろうし。今度は青い海を背景としない写真もしっかり撮ってみたいですね。


井口綾子(Ayako INOKUCHI)

1997年3月24日生まれ 

公式Instagram【@lespros_ayako】

公式Twitter【@inokuchi_1st】

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