『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第8回前編 加治ひとみ

「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生で一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ。


今回は、アーティストの加治ひとみさん。彼女は「週刊プレイボーイ」の2018年32号に初グラビア&初表紙という形で初登場。目が覚めるような美貌と、割れた腹筋がまぶしい小麦色で健康的なスタイルは、当時、大きなインパクトとともに話題となりました。


26歳でオーディションに合格し、28歳で歌手デビュー。「遅咲きのアラサー美女」と呼ばれ、現在は男女問わず高い支持を集める彼女ですが、グラビアに挑戦する直前まで「崖っぷち」の状態にあったとか。果たして、彼女はどんな決意をもって「週刊プレイボーイ」へ登場したのか。当時の想いとともに聞きました。



* * *


ーー加治さんは、2018年32号の週プレに初登場にして、表紙・巻頭を飾っていただきました。そのナチュラルな美しさは衝撃とともに、大きな話題を呼びました。


加治 ありがとうございます。自分が週プレさんに出させていただけるなんて思っていなかったので、びっくりしました。しかもまさか表紙だなんて! 誌面が出た時は嬉しくて、コンビニへ行って、棚の前に“面出し”しました(笑)。


ーー当時、意外だったのは、それが初グラビアだったこと。「週プレは加治ひとみという逸材を見つけてしまった。」と誌面に書いてありましたが、本当に初めてだったんですか?


加治 そもそも私、デビューが28歳と遅かったんです。そのきっかけになった東京ガールズオーディション(TGA)を受けた時は26歳で、周りはほぼ全員が10代、中には9歳の女のコもいましたし(笑)。


ーー確かに26歳で受ける方はほぼいないと思いますが、どんな思いでオーディションを?


加治 一言でいうと人生を変えたかったんですよね。


ーー人生を変える、ですか。


加治 それまでの私は自分で何かを成しとげたことが一度もなかったんです。学生時代もそうだし、社会人になってからもそう。だから自分を好きになれないし、まるで自信がない。将来のことをもっと考えないと。それが本当に苦しくて。そんな時にTGAを見つけました。受かれば夢だった歌手デビューが果たせるし、しかもTGAには年齢制限がない。これが最初で最後のチャンスだと思って、受けることを決めました。


ーーでも意外ですよね。「自分を好きになれず、自信がない」って。とてもそうは見えません。


加治 確かに大勢の方によく言われました。でも本当にそうなんです。結局「こう生きるべき」だとは考えてきたけど、「こう生きたい」とは考えてこなくて。ずっと自分の意思のない人生を歩んできたので、自信なんて生まれるはずがなかったんですよね。


ーーそれまで芸能事務所からスカウトは?


加治 ありましたけど、断ってました。その頃は芸能のお仕事に踏み出せる勇気が持てなくて。でもいま思えば一歩踏み出してから、考えてみてもよかったのかなとは思います。



ーーTGAではJUJUさんの「この夜を止めてよ」を熱唱。見事、グランプリを勝ち取りました。


加治 受賞の瞬間は嬉しさで大泣きしました。人生は一瞬で変わることもあるんだなと知りましたよ。帰り道の景色はそれまでグレイだったのが、ピンクになりましたから(笑)。でもプロの世界はそう甘いものじゃないってことを知りました。


ーーというと?


加治 1年間くらいかけ、デビューに向けて曲作りやボイストレーニングなどに励み、ようやく念願の歌手デビューを果たしたんですが、なかなか売り上げがまるで振るわなくて。その後、1年半にわたってシングルやアルバムをリリースをしましたが、結果は同じ。そうしてるうちにリリースの話自体が出なくなってしまいました。


ーーアーティスト活動が止まってしまったと。


加治 はい。なので当時は毎日公園にいました。詞は書き続けていたけど、芝生の上で本を読んだり、音楽を聞いたり。そしてそのうちに今度は事務所の契約解除の話がありました。そうだよなーとは思ったけど、なかなか受け入れられなかったです。やっぱり自分が選んだ道が正しかったと思いたいじゃないですか。悔しいし、あきらめきれない。何かできないか、そればかりを毎日考えていました。


ーー転機はなんだったんですか?


加治 現在のマネージャー、ポロコさんと出会ったことです。別の部署の方だったんですけど、たまたまイベントで知り合い、その帰り道でお茶したら、3時間も話し込んじゃって。


ーー3時間も!? その時が初対面ですよね。


加治 そうです(笑)。そこでこれまでの経緯や今後どうするのがいいかとか、絶対にあきらめたくないとか、いろんなお話をしたんです。そうしたらすごく親身に聞いてくれて。しかも一ヵ月後に私のマネージャーとして異動してきてくれたんです! マネージャーも私の中に何かを見つけてくれたみたいで、「加治と心中するつもりだから、とことん一緒にやろう」って。


ーーまさに運命的な出会いですね。


加治 後で聞いたら、上司の方に私のマネージャーを担当させてほしいと何度もお願いしたと聞きました。ポロコさんの抱えていた仕事が一段落しタイミング的によかったとか、いろいろなことがうまく重なったみたいで。自分としては生き返った気持ちで、ポロコさんと二人三脚で毎日を送るようになりました。


ーーグラビアをやることになったのも、ポロコさんの発案ですか?


加治 そうです。まだ顔を知られてないからって、TV局などに連日挨拶回りをしていたんです。そうしたら急に「ボディの仕事したことある?」って。ピラティスやジムにはずっと通って鍛えてはいたけど、仕事にしたことはなかったんで、そう言ったら「なんでやらないの?」って


ーー唐突ですね(苦笑)。


加治 数日後「あなたのボディを世に広められるところとアポが取れたよ!」って言われ、行ったのが週プレさんでした。


ーーなるほど。でもなぜグラビアだったんですか?


加治 もともと私は海が好きで、ダイビングを趣味にしていたんです。それもあって「ヘルシーで、セクシーで、海が似合う」のイメージを打ち出したかったみたいで。それをアピールするのはグラビアで、派手に打ち出せるのは週プレさんだろうと。週プレさんには女優さんからモデルまで、幅広い方々が出ていましたしね。


デジタル写真集『アーティスト界イチの美女はセクシーな日焼け肌』(撮影/鈴木 心)より


ーー週プレ編集部に初めて行った時の印象は覚えてます?


加治 雑誌の編集部自体、初めて行ったので緊張しました。オーディションを受けてるみたく、デビューの経緯とか、そういう話をしたのは覚えています。あとはポロコさんがたくさん話してくれて。あと二人して「私たち崖っぷちです。ヌード以外はなんでもしますのでお願いします!」って熱く話したのは覚えてますね。


ーーヌード以外なんでも! 崖っぷち!! 担当編集も驚いたのでは?


加治 かもしれません(笑)。「一緒にやりましょう」って言ってくださって。すると数日後、連絡があって、「撮影決まりました! 表紙&巻頭です! ロケ地はグアムです!」って。二人で顔を合わせてびっくりしちゃって! 地道に頑張って、いつか撮影していただけたらいいなくらいに思っていたんです。それがまさかそんなに!


ーー一般の漫画誌とは違って、週プレで初グラビア&初登場、初表紙を飾るのは、かなりレアケースだと思います。


加治 ですよね。しかもそれが若くて、将来が期待できるコならまだわかるんです。私は30歳で、本当に崖っぷちでしたから。ただただびっくりしましたね。



担当編集者が語る加治ひとみの初グラビア


加治ひとみさんは最初、知り合いの紹介でお会いしました。先に彼女一人で編集部にやって来たんですが、確かショートパンツに、お腹を出したシャツ、それにメッシュの入ったヘアスタイル。顔立ちは整っていて、全身もスラっとしている。派手なコが来たなというのが第一印象です。ただそれでいて話してみると、派手な見た目とは真逆でじつに穏やか。不思議な方だなと思いました。


それから少し経ってマネージャーさんが現れました。彼女は明るくパワフルな方。加治さんの話をフォローしつつ、ひたすら熱く語ります。二人によれば、自分たちはアーティストとして崖っぷちでこの先、仕事もどうなるかわからない。でもなんとか起死回生を狙い、心中覚悟で動き回っているんだとか。


二人のコンビネーションが面白く、またシビアな内容にも関わらず悲壮感を感じさせない明るい話しぶりが楽しくて、初対面にも関わらず気づいたら2時間半ほど一緒にいました。二人が帰る頃には、絶対一緒に仕事しようという思いが腹の中で固まっていましたね。


表紙・巻頭での掲載はもちろん最初から決まっていたわけではありません。ただそうすることで、彼女を最大のインパクトと共に打ち出せるだろうと、編集部内で決まりました。加治さんの美貌と不思議な存在感、ポロコさんの情熱に賭けてみたくなったんですよね。


撮影当日に意識したのは、とにかく彼女のナチュラルな姿を収めることです。本人は現場で戸惑っていましたが、特にメイクを薄くすることにはこだわりました。またそれまで彼女のインスタグラムやアーティスト写真などには見られなかった、自然な表情と笑顔などをカメラマンにしっかり捉えてもらえるよう、配慮しました。とにかくこんな素敵な女性がいたんだ、ということをなによりも伝えたかったんですよね。


初グラビアで気に入っているのは、海に腰をつけて満面の笑みを浮かべているカットとラストページで力の抜けた表情をしているカット。どちらも加治さんの素顔が写っているんじゃないかと思います。それと腹筋を浮かせている、扉ページのカットもいいですよね。精悍な雰囲気の加治さんもしっかり収めておきたいと思い、撮影してもらいました。


私自身が考える加治さんの魅力は、圧倒的な美貌を持ちながらも、そばにいる人を包み込むような、優しい雰囲気を持っていること。初グラビアではそんな一面をしっかり出せるよう意識しました。ページの中に、小さいながらも笑顔のカットを多く入れたのは、そんな意図があったから。加治さんを見た男性読者は、その美しさに驚きながらも身近に感じ、その笑顔に癒されるだろうなと思ったんですよね。


加治ひとみ(Hitomi KAJI)

1987年8月26日生まれ 東京都出身 身長163㎝

公式Instagram【@kaji_26】

公式Twitter【@kaji2608】

YouTubeチャンネル『加治ひとみOfficial Channel』

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