2021年10月13日 取材・文/大野智己、撮影/山下 隼
「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生で一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ。
今回は、「週刊プレイボーイ」の2018年32号に初グラビア&初表紙という形で初登場したアーティストの加治ひとみさん。
崖っぷちから起死回生をはかるため、週刊プレイボーイのグラビアへ挑戦を決意した彼女は、熱いプレゼンテーションの末、表紙・巻頭での登場を告げられ、グアムロケへと出かけることに。そこで何が待っていたのか。またグラビアを通じて、彼女が得たものとは何か。今回も当時を振り返ってもらいます。
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ーー実際にロケに行くまではダイエットなど何か準備をしました?
加治 普段から運動したり、腸活をしていたので特別なダイエットなどしませんでしたが、それでも食べ物に気をつかったり、キレイに見せられるよう鏡の前で体のラインをチェックしたり。まるで部活の決勝戦を迎えるみたいな気持ちで毎日を過ごしました。
ーー部活の決勝戦、ですか?
加治 自分にとって大一番の勝負の前というか。本当に崖っぷちだし、年齢的にも後がない。ここで絶対に失敗するわけにはいかないって。不安もありましたが「絶対にやるぞ」って強い気持ちでいました。その時の自分が唯一、全力を発揮できるのは気合しかありませんでしたから。
ーーグアムまで、飛行機の中ではどんな風に過ごしました?
加治 ポロコさんとずっとしゃべっていました。きっと「加治が緊張してるんじゃないか」「自分を出し切れるかな」って親心で、気持ちを和らげようとしてくれてたんだと思います。
デジタル写真集『アーティスト界イチの美女はセクシーな日焼け肌』(撮影/鈴木心)より
ーー事前に衣装合わせはしたんですか?
加治 一切していないです。編集部さんを信頼してましたのでお任せでした! 現地に着いて見せてもらったら、どれも可愛い衣装ばかりでテンションがあがりました。
ーーとにかく撮影に集中するだけだと。
加治 はい。ただちょっと気になったのはメイクです。それまでの私は濃いメイクが多かったので、グラビア撮影時は薄くてほぼすっぴんに近い状態だったんです。正直まだその時、私はスッピンに自信がもてなかったので、少し戸惑いはありました。それでもスタッフさんを信じてカメラの前に立ちました。
ーー撮影はやっぱり緊張しました?
加治 すごくしましたね。特に撮り始めた時なんてガチガチで。表紙のカットとか「クールだね」って言われたりしましたけど、あれは本当に緊張しているだけです(笑)。でも表情が暗いとみんなに迷惑をかけると思ってモチベーションを下げないよう意識しました。
ーー撮影中、印象に残ってることは?
加治 初日の最後、夕暮れの海でのシーンを撮影したんですけど、カメラマンの鈴木心さんがボクサーパンツ型の水着を穿いて現れたことですね。それまでちょっと強面な印象だったんですけど場が沸いて、一気に気持ちが和らぎました。そこから2泊3日にわたり、楽しく撮影に臨めました。(鈴木)心さんから心に響く言葉をいただいたんですよ。
ーーそれはどんな?
加治 「心を許さないといい写真は撮れないよ」って。「いい表情を作ろう」とか「よく見せよう」とかにとらわれてはいけないんですよ。みんなで心をひとつにすることを学びました。
ーー現場のいい雰囲気が伝わってきます。特に好きなカットは?
加治 どれも好きなんですけど、やっぱりその夕暮れの海でのカットかな。思い入れもあるし、なによりキレイじゃないですか。あとニットを着て後ろ向きでお尻を突き出すポーズは、その後の自分の定番になっていて、それも特に気に入ってますね。
『週刊プレイボーイ2018年32号』(撮影/鈴木心)より
ーーロケを無事に終え、実際に出来上がった誌面を見た時の心境は?
加治 朝、コンビニに行って見つけたんですけど、本当に嬉しかったですね。その後、自宅でゆっくり写真を眺めて、緊張で表情が硬いなって思ったり、すっぴんって案外、幼く映るんだなって思ったり。録音した自分の声を初めて聞く時ってどこか違和感があるじゃないですか。そういう感じを受けたりとか、いろんなことを思いました。そうして雑誌に載ったことに少しずつ実感が湧いてきました。
ーー周囲の反応は?
加治 すごくありました。私のグラビアをインスタであげてくれたり、よかったねって喜んでくれたり。ファンの方も増えました。それまでそんな風にほめてもらえることって正直なくて。自分が頑張ったことを初めてちゃんと認めてもらって、感激しましたね。
ーーグラビアを通じ、自分の中で何かが変わったという実感はありました?
加治 それまで撮影の時は、いつも強い表情でいて、こんな風に自然な笑顔を浮かべたり、優しいイメージを見せることはなかったんです。でもグラビアを通じ、こういう自分でもいいんだなって。自信を持てたとまでは言い切れないですけど、すごく楽な気持ちになりました。新しい自分を見つけた気分です。
『週刊プレイボーイ2018年32号』(撮影/鈴木心)より
ーーその後、1年経たずに、週プレでは第二回、第三回となる撮り下ろしを掲載。加治さんのスタイルには「かぢヒップ」「かぢボディ」などのキャッチフレーズが付くようになりました。そして「かぢボディ」は、女性誌などを通じ、いまでは女性が憧れるスタイルと言われています。
加治 「かぢボディ」は最初、ポロコさんがつけてくれたんです。それを週プレの編集さんが「キャッチーだね!」って、誌面でも使ってくれるようになりました。それが男性も女性も親しみを持ってもらえるようになるなんて、本当にありがたいです。
ーー加治さんが思うグラビアの面白さは?
加治 視野が広がるところですよね。可愛らしさやキレイさって、一度それがいいと思ったら、どうしても追求してしまうものですけど、でもグラビアはそれだけじゃない良さも発見できるというか。初グラビアの時のすっぴんに近いメイクなんてまさにそうだったし。常に新しい自分を見つけられるのがいいところだと思います。最近は以前みたく筋トレするのを控え、体の柔らかい部分も大事に思うようになりました。最新のグラビアでまた新しい「かぢボディ」を見ていただけるんじゃないかなと思います。
ーー最後に、加治さんはいまも初グラビアを見返しますか?
加治 しますね。よく本棚を整理するんですけど、その時は必ず見ちゃいます。
ーーこの時の表情を、いま再現できますか?
加治 いや、できないですよ。この時の硬い表情は、緊張から来ているだけでなく、崖っぷちにいてなんとかしなきゃって思いからのものでもあるので。当時はこの自分を見て、複雑な気持ちになったこともありましたけど、今となってはこれはこれで受け入れられるようになりました。
ーー自分を好きになって、自信が持てるようになりました?
加治 いまの自分に満足できない性格なので自信はまだですけど、前よりも自分を好きになれた気がします。そう思えるだけでも、グラビアをやって本当によかったなと思いますね。
デジタル写真集『アーティスト界イチの美女はセクシーな日焼け肌』(撮影/鈴木心)より
<週プレ PHOTO BOOK> 加治ひとみ「アーティスト界イチの美女はセクシーな日焼け肌」撮影/鈴木心 価格/1320円(税込)
加治ひとみ(Hitomi KAJI)
1987年8月26日生まれ 東京都出身 身長163㎝
公式Instagram【@kaji_26】
公式Twitter【@kaji2608】
YouTubeチャンネル『加治ひとみOfficial Channel』