週刊プレイボーイ創刊55周年スぺシャルインタビュー『7日間の女神たちへ!!』~1997年の中山エミリ②~

“週プレ”の華はいつの時代も、その時代に生きる日本中のオトコたちの心と体をつかんだ、他の雑誌よりページ数が断然多い、そのとき日本で一番のオンナたちが彩る「グラビア」ページだった!


そんな各時代の誌面に登場してくれた“伝説のオンナ”たちに会いに行き、グラビアの魅力を改めて紐解くインタビュー連載企画、今回7回目にはタレントの中山エミリさんが登場!


王道を突き進む“美少女”が水着グラビアにも登場してくれた衝撃はすさまじかった。その後もドラマに映画にバラエティ番組に、常に求め続けられる彼女にとって、10代で経験したグラビアとはいったいどんな風景だったのだろうか?


取材・文・インタビュー写真/大村克巳


* * *


――その素直さでカメラマンも楽しく撮影できたと思います。引っ張っても動かない方もいますから(笑)。


中山 素人が考える場所じゃなくて、「こんな所で?」みたいな場所で撮影されても、当時はポラロイドがあって、それを見て世界観が変わるんです。


――そこがカメラマンの最初のハードルでしたね。そこで心を掴めないと、この人、下手なんじゃないかって思われますから。


中山 週プレの撮影場所では「廃墟」のイメージが強かったですね。綺麗なお花畑で撮りましょう、って感じなら想像つきますが「廃墟」ってイメージが湧かなくって(笑)。ただ、写真はかなりカッコよくて、ポラ見てカメラマンさんの作ってくださる世界に入れていただけたのが嬉しかったです。


週刊プレイボーイ1996年1&2号より(撮影/中村昇)


――なるほど。撮影場所でポラロイドでグラビアで撮られる自分を見る。それが雑誌に掲載されてまた自分で見る。それってどんな感じですか?


中山 普段、油断して生きている自分をメイクさんやスタイリストさんが作ってくれて、カメラマンさんが表情を引き出してくれる。非日常の世界がそこに流れている。本屋さんの中にそんな私がいるのが最初はすごく不思議でした。経験を重ねて息を吸ってお腹引っ込めようとかも思いましたね(笑)。


――グラビアの中の自分を客観視して、新しい発見とかありましたか?


中山 普通に生活していて、写真を撮られるタイミングがあるじゃないですか。そういう時って「可愛く撮れてるね」って言葉が一番嬉しかった。だけど、グラビアを体験して「カッコよく撮れてるね」って言葉に出逢った。自分の人生のベクトルにそれは無かったんですね。週プレさんにはその言葉をいただいた。作品を作っている感じがありがたかったです。


――同世代ぐらいの方で意識していた方とかいましたか?


中山 意識とかではないですけど、グラビアといえばイエローキャブの皆様のボン、キュッ、ボンに憧れてました。次に生まれ変われるならそうなりたいと思いました。


週刊プレイボーイ1997年3&4号より(撮影/井ノ元浩二)


――皆さんグラビア番長でしたもんね。(笑)


中山 私は、セクシーな自分にはなれないかもしれないけど、自分にしかできないこともあるのかなって、カメラマンさんに演出していただきました。ロケも楽しくって、海外でも何日も一緒にいると家族的になってきて、撮影終わりで夜ご飯で盛り上がって。今の時代からすれば、本当に贅沢な時間だったんだ、って思います。


――現場の空気って、写真に出ますよね。


中山 ホントそう思います。


――当時の僕は、中山さんと映画『レオン』のマチルダ役のナタリー・ポートマンとイメージが重なったんですよね。


中山 あら、誰かに後ろからボンって叩かれそうな……(笑)。


週刊プレイボーイ1997年3&4号より(撮影/井ノ元浩二)


――いえいえ。『レオン』はマチルダとレオンの愛の物語で、大人になれない大人と子供でいられない女の子の「愛の形」なんですが、エミリさんとエロスは遠くに感じるようで、実はとっても身近なんですよね。ロリータコンプレックスはクリエーターの鉄板テーマですから。


週プレのグラビアの面白さは、本気でそこと格闘していて、中山さんに嫌われないように距離感を確認しながら撮影してますね。ここが漫画誌のグラビアとの違いですね。


中山 漫画誌のグラビアで「廃墟」はないですもんね。(笑)


――中山さんのグラビアは中山さんの青春時代の記録でもあるわけですが、この世界に入って得たものと失ったものについて考えたりすることってありますか?


中山 失ったものは仕事で忙しくて、その頃の女子ができる何かの「時間」でしょうか。得たものは人との出会いだと思います。毎日現場でたくさんの人と関わる仕事なので、そこからいろんなことを吸収できたと思っています。


この仕事をしていなかったら、自分からコンタクトを取って行くような積極的な自分にはなっていなかったと思います。現場に行けば吸収しなければならないことがどんどん勝手に降ってくるんですから。



*第3回は、2月20日(日)配信予定です


●中山エミリ

1978年、神奈川県生まれ。1994年にTVドラマ『おれはO型・牡羊座』でデビュー以来、以後、数多くのドラマ、映画、CMに出演。また、タレントや情報・バラエティ番組の司会としても活躍の場を広げる。2010年、プロライフセーバーで俳優の飯沼誠司と結婚。15年に女児を出産。


●大村克巳(おおむら・かつみ)

1965年、静岡県生まれ。写真家。

1986年にJPS展金賞受賞し。99年ニューヨーク・ソーホーでギャラリーデビュー。

2002年日韓交流事業「済州島」を日本と韓国で発表し、

2009年から2017年より毎年「NEWS ZERO展」を開催する。

個展、グループ展の開催多数。

著書に写真集『伝言 福山雅治』(集英社)、

『はだしのゲン 創作の真実』(中央公論新社)など。


スタイリング/長谷川睦子 ヘア&メイク/土橋大輔

衣装協力/MEIMEIJ(ワンピース)、SIMPRICH(ピアス)

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