週刊プレイボーイ創刊55周年スぺシャルインタビュー『7日間の女神たちへ!!』~1997年の中山エミリ④~

“週プレ”の華はいつの時代も、その時代に生きる日本中のオトコたちの心と体をつかんだ、他の雑誌よりページ数が断然多い、そのとき日本で一番のオンナたちが彩る「グラビア」ページだった!


そんな各時代の誌面に登場してくれた“伝説のオンナ”たちに会いに行き、グラビアの魅力を改めて紐解くインタビュー連載企画、今回7回目にはタレントの中山エミリさんが登場!


王道を突き進む“美少女”が水着グラビアにも登場してくれた衝撃はすさまじかった。その後もドラマに映画にバラエティ番組に、常に求め続けられる彼女にとって、10代で経験したグラビアとはいったいどんな風景だったのだろうか?


取材・文・インタビュー写真/大村克巳


* * *


――ご結婚されてますよね。結婚して中山さんの思う結婚観とのギャップってありましたか?


中山 結婚に関して憧れがあった乙女の時代からすると、いまの主人とは別に結婚しなくてもいいかな、このままでもいいんじゃ無いかって思っていました。お付き合いも長かったですし。でもこういう仕事もしているからこそ、主人がちゃんとしようって真っ当なこと言ってくれて……。


でも、結婚しても何も変わらなかったですね。ただ、子供ができたらこんなに変わるんだって思いました。街で保育園の先生がたくさんのお子さんを引率している場面に出会うと、先生が神様に見えます。我が子と一対一でも、てんやわんやで大変なのにね。


週刊プレイボーイ1998年45号より(撮影/中村昇)


――子供たちを引率する先生を「神」って感じる感性が、まっすぐで綺麗だと思います。


中山 私がたまたま一般の人より知られている、そういう仕事だからって偉くもないんですね。みんなそれぞれの人生を歩んでいる。自分もその中の一人なんです。芸能人が銀幕のスターの時代と呼ばれていた頃は、いろんな伝説もあって聞いたりしましたが、遠すぎて想像がつかないですね。


今の若い子とも接点がなくて、SNSとかもよくわからないです。完全にアナログ人間なので。マネージャーさんが若い人なので私を介護するようにいろいろと教えてくれます(笑)。


生まれた時からネットやスマホが当たり前にある時代。それがどうとか思わないです。もうそれ無しでは生活がままならないでしょう。YouTuberさんも数年前まで知らなかった。職業として確立している人もいれば、趣味としてやられてる人もいて、情報を取り巻く環境がものすごいスピードで変わっていった。


紙に自分が載っているグラビアもなくなるかもしれない。けれどもそれを体験した私は、その感動や手に取った質感を覚えてる。可愛くて輝いてる一瞬を大人たちが作ってくれた。


SNS世代に育ったお母さんも、絵本を買って子供と一緒に読み聞かせながら、心地よい時間を過ごすと思うんです。やっぱりグラビアは紙として残ってほしいです。


週刊プレイボーイ1999年25号より(撮影/平地勲)


――質感という重力はデジタルの唯一ない部分で、VRで脳を騙してもそれもまた別物なんですよね。絵本とグラビアの話は目から鱗です。さて、この時代でもグラビアに挑戦する人たちがいます。その子たちに向けてアドバイスをいただければと思うのですが。


中山 私ごときの言葉が参考になるかわかりませんが、一番きれいなところをプロが真剣に考えながらカッコよく撮影してくれる。それは最高の思い出にもなる。今の若い方たちは自分の意見がはっきり言える。こうしてほしい、そういうセッションがスタッフとできると思います。その時間を楽しんでほしいですね。


――最後の質問です。中山さんは今という時代を幸福だと思いますか?


中山 この間、スマホで私の娘の写真を探していたんですね。それが写っている方全員が全員マスクしてるんです。この時世ですからしょうがないかと思いつつ、小さい子は人の口元の動きを見て言葉を覚えるっていう先生もいらっしゃるので、うーんかわいそうだなって思ったんですが。きっといつか、あんな日もあったって言える時がくると思うんです。


私は絶対に過去に戻りたくないし、今が一番幸せなんです。おばちゃんになってもその時が一番楽しい、そう思ってます。だって、今の時代に生まれちゃって不幸、と思うほど不幸なことはないじゃなですか。ネガティブに考えたらそうなってしまうから、ポジティブに考えてハッピーに寄せていく方が絶対いいです。


週刊プレイボーイ1999年25号より(撮影/平地勲)


――そうですね。中山さんと話してると僕も前向きになります。ちょっと弱った時に話を聞いてもらっていいですか?(笑)


中山 いいですよ(笑)。コロナが収まったら居酒屋で一杯やりながらどうですか?


――是非是非、お願いいたします。


インタビュー中、彼女の頭の回転の速さに感心しながら、90年代後半に出会った「天真爛漫な美少女」が素敵な大人の女性になっていたことを嬉しく思った。この時代に彼女の言葉は心に刺さる。「生まれた時代を不幸と思うことほど不幸なことはない」と。だから私たちは幸福にならねばならないのだと。彼女の言葉は現実との向かい方を、示してくれているような気がする。



●中山エミリ

1978年、神奈川県生まれ。1994年にTVドラマ『おれはO型・牡羊座』でデビュー以来、以後、数多くのドラマ、映画、CMに出演。また、タレントや情報・バラエティ番組の司会としても活躍の場を広げる。2010年、プロライフセーバーで俳優の飯沼誠司と結婚。15年に女児を出産。


●大村克巳(おおむら・かつみ)

1965年、静岡県生まれ。写真家。

1986年にJPS展金賞受賞し。99年ニューヨーク・ソーホーでギャラリーデビュー。

2002年日韓交流事業「済州島」を日本と韓国で発表し、

2009年から2017年より毎年「NEWS ZERO展」を開催する。

個展、グループ展の開催多数。

著書に写真集『伝言 福山雅治』(集英社)、

『はだしのゲン 創作の真実』(中央公論新社)など。


スタイリング/長谷川睦子 ヘア&メイク/土橋大輔

衣装協力/MEIMEIJ(ワンピース)、SIMPRICH(ピアス)

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