2021年11月3日 取材・文/大野智己、撮影/山上徳幸
「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生で一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードを当時の想いとともに綴る連載シリーズ。
今回は、女優・モデルとして活動する川津明日香さん。彼女は「週刊プレイボーイ」2020年3&4合併号に初登場。元セブンティーンモデルの本気のグラビアは、読者をたちまち虜にし、大反響を呼びました。
14歳で『セブンティーン』のモデルとしてデビュー。その後、女優、タレントとして活躍する中、満を持してのグラビアデビュー。それは彼女の人生にとって大きな転機だったとか。当時の心境とともに聞きました。
「週刊プレイボーイ」2020年3&4合併号(撮影/唐木貴央)より
ーー川津さんは、ある日一度に8人からスカウトされて、芸能界入りしたそうですね。
川津 中2のとき、母と「a-nation」に行って、その会場で皆さんからスカウトしていただきました。入れ替わり母に名刺を渡しているので何かなと思っていたら全員、芸能事務所の方で「あ、そういうことか」って。
ーー小さい頃から芸能界に入りたかったんですか?
川津 4歳からバレエをやっていたので、ずっとバレリーナになりたかったですね。レッスンには先輩のお姉さんたちも来るんですけど、彼女たちを見てあんな大人になりたいなって。
ーー華やかな世界に憧れてたんですね。
川津 はい。スカウトされたときは、『ニコラ』を読んでいて、モデルの仕事にも興味がありました。なので是非やりたいなって。でも両親は反対したんです。受験もあったし、芸能界にいくのなら大学を出て、女子アナを目指しなさいって。そこまで待てないから全力で説得しました。事務所に入るときは作文も書きましたね。
ーー作文、ですか?
川津 私の家は、ケータイとか欲しいものがあったり、何かしたいときは必ず作文を書くんです。理由とルールを書きなさいって。具体的に何を書いたかは忘れたけど、「勉強と両立します」みたいなことを書いた気がします。実際はかなり大変でしたけど(笑)。
ーー早速、「ミスセブンティーン2014」オーディションに応募し、見事グランプリを獲得しました。
川津 初めてのオーディションだったので、勝手がわからずとにかく必死でした。決まったと連絡があった時は本当に嬉しかったですね。家族に報告したら、みんな喜んでくれました。
ーー自分では何がよかったんだと思います?
川津 エントリーシートですかね。そのときは目立ったほうが絶対いいと思い込んでギッシリ書いた上、絵もいっぱい描いたんです。後で編集長から「あれがよかったよ」って言ってもらいました。
ーー家でたくさん作文を書いたのも活きたんでしょうね。お披露目は緊張しました?
川津 グランプリの発表は「セブンティーン夏の学園祭」でされるんですけど、人生で一番、緊張しましたね。読者の方に受け入れてもらえるかわからないじゃないですか。だからずっと不安で。盛大な拍手をいただいたときは、最高に嬉しかったです。
ーー『セブンティーン』でのお仕事はすぐに慣れました?
川津 はい。専属モデルは常時、25~6人いて、毎回いろんな方と撮影するんですけど、皆さん優しい方ばかりだったので。いつもいろんなことを教えてもらったりして、部活みたいでした。お仕事は楽しいし、毎日が刺激的でした。
ーーそこから女優のお仕事も、モデルと並行して始めたんですよね。
川津 はい。でも最初はお芝居するのが苦手で。モデルの多くは女優を目指すんですけど、私はそこまで前のめりにはなれませんでしたね。昔から人前で声を出すのが得意じゃなかったんです。学校の授業でも音読とか発言するのとかすごくいやだったし。
ーーそうだったんですね。
川津 そのうち、「時代的にもこれからはモデルだけでなく女優にも進出しないと芸能界で生き残っていけないよ」みたいな話を聞いて、だったらいっそのこと、芸能界を辞めてファッションの裏方をやろうかなんてことも考えたし。それでもお仕事が決まって、何回か現場に行くうちに楽しくなって、やる気が湧いてきました。オーディションがダメでも「次は頑張るぞ」って思えるようになったりとか。
ーー前向きになれたんですね。
川津 はい。いま思えばそんな風に気持ちが揺れたのは、女優のお仕事がどうこうってより、思春期だったのが大きかったかもしれないです。それこそモデルのお仕事でも悩んだこともあったし。
ーーそれはどんなことで悩んだの?
川津 やっぱり誰が一番誌面に出ているかを気にしたり、あと自分にはっきりしたキャラがないなって思ったりとか。コリアが好きな人とかは、それをはっきり打ち出して、企画に出たりしてるんですけど、私自身はこれというのがなくて。それでも自分を打ち出したいって思いから、無断で髪を染めて当時のマネージャーさんに怒られたりとか。
デジタル写真集「どうしたって好きになる」(撮影/唐木貴央)より
ーー大胆ですね(笑)。でも、モデルさんたちは全員年も近いし、やっぱり「自分」を考えちゃいますよね。
川津 そうなんですよ。でもそんな風に悩んだりすることが自分の原動力になるというか。もっと頑張ろうって気持ちにさせてくれるんですけどね。
ーーそして2018年3月に「セブンティーン」を卒業します。
川津 ちょうど高校卒業だったので、いい区切りじゃないかと思ったんです。自分自身のために、新たなスタートを切りたいなって。あわせて事務所も移籍しました。
ーーグラビアはそのタイミングでやることに?
川津 はい。新しい事務所の方と今後、どんな仕事をやりたいかって話になって。そこでこれまでやっていたモデル、映像の仕事に加え、グラビアをやってみたいですと言いました。
ーーグラビアが好きだったんですか?
川津 馬場ふみかさんと内田理央さんが好きで、お二人のグラビアをよく見ていました。どちらも素敵で憧れましたね。あとセブンティーンモデルの新川優愛ちゃんもグラビアをやってたじゃないですか。
それも見て、私もやってみたいなって思っていたんです。
ーーいきなりグラビアって、事務所の方は驚いたんじゃないですか?
川津 「普通は自分から言わないのになんで?」って(笑)。でも、新しいスタートを切る上で、やったことのないことをやってみたかったんです。事務所の方は理解してくれて、ひとまず顔見せに行ってみようと。そして最初に出かけたのが週プレさんだったんです。
*第10回後編は、11月10日(水)配信予定です
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担当編集者が語る川津明日香の初グラビア
川津明日香さんは最初、事務所スタッフと一緒に編集部へ顔見せに来ていただきました。本人がグラビアを是非、やりたいということでしたが、正直、戸惑いましたよ。ミスセブンティーングランプリを受賞した人気モデルですから。すぐに撮影が決まりました。
ロケ地は沖縄です。初グラビアなので、とにかく可愛い笑顔を撮ることを心がけました。現場ではちょっと緊張していたかもしれません。でも思った通りの素晴らしい姿を見せてくれましたね。
初グラビアで気に入っているのは、ラストページに載っている花柄水着のカット。夕陽をバックに片腕を上げ、抜群のスタイルを見せてくれています。ちょっぴり思わせぶりな表情も魅力的です。
この時のグラビアは非常に反響があり、デジタル写真集も大ヒットしました。それ以降、2年間にわたりずっと川津さんを撮影させてもらっています。
そんな中、印象に残っているのは2度目の撮影。初表紙を飾った時です(2020年15号)。じつはこの時、付録DVDを作るということで、彼女にドッキリをしかけたんです。ロケ地はハワイだったんですが、彼女にはタイに行くと知らせていて、現地で驚かせようと。
出発当日、空港にきた彼女はタイに行く気満々。搭乗してもまだ気づかない。ドッキリ成功か!……と思っていたんですが、結局、機内アナウンスでバレてしまいました。でも人の言うことに疑いを持たない、本当に素直な方なんだなと思いましたね。
彼女の魅力? ルックスはもちろんですが、常に明るく元気なところですね。今まで一度も疲れたって姿を見せないんですよ。だからスタッフ全員が彼女のためにいい撮影をしようという気持ちになる。現在は女優としても注目を集めていますが、その活躍も納得ですよね。
「週刊プレイボーイ」2020年3&4合併号(撮影/唐木貴央)より
川津明日香(Asuka KAWAZU)
2000年2月12日生まれ 東京都出身
身長163㎝
特技=クラシックバレエ、習字
公式Twitter【@Asuka_Kawazu_】
公式Instagram【@asuka_kawazu】