2021年11月10日 取材・文/大野智己、撮影/山上徳幸
「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生で一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードを当時の想いとともに綴る連載シリーズ。
今回は『仮面ライダーセイバー』のヒロイン役を演じ、一躍注目を集めた女優・モデルの川津明日香さん。人気モデルとして活動する中、ステップアップのため、グラビアでの活動を図ったという彼女。初めてのグラビアはどんな心境で臨んだのか。また川津さんが考えるグラビアの魅力は。今回も振り返ってもらいます。
デジタル写真集「どうしたって好きになる」(撮影/唐木貴央)より
ーー初めて編集部へ来たとき時はどんな心境でした?
川津 ものすごく緊張しました。グラビアの顔見せなんて初めてだから顔なのか、スタイルなのか、どこを見られるのかわからないし。前日にマネージャーさんと相談して、ひとまず体のシルエットがわかる洋服を着ていくことにしてうまくアピールできたらと思ったんですけど、いざ行ってみると今度は何を話していいかわからなくて。
ーー担当編集者の反応はどうでした?
川津 よかった気がします。すぐに「スケジュールはいつ空いてる?」みたいな話になったので。あ、これ決まるのかなって思っていたら、すぐに正式オファーがありました。あまりにすんなり決まったので、ちょっとびっくりしたくらいです。
ーー撮影に向けて、何か準備はしました?
川津 決まってから割とすぐのスケジュールだったので、間に合うかなと思いつつトレーニングしたり、食事の量を調整したり。ただ普段からモデルの仕事もしていたので、そこまで特別なことはしなかったです。
ーー初グラビアのロケ地は沖縄。向こうに到着した時はどきどきしたんじゃないですか?
川津 どちらかというとわくわくのほうが大きかったですね。この時はスケジュールの都合で、前乗りさせていただいたんです。マネージャーさんと国際通りへ行って、沖縄料理を食べ歩きしました。
ーー食べ歩きって、撮影前でしょ(笑)?
川津 私、生まれて初めての沖縄だったので浮かれちゃって(笑)。とにかく嬉しかったんです。翌朝スタッフさんと合流したんですけど、おかげで落ち着いて撮影に臨めました。
ーー水着になるのに恥ずかしさは?
川津 それほどでもなかったけど、多少はありました。モデルで水着ページに出たことはなかったし、学校の授業を除けばプライベートでは一度だけ友達とプールに行った時しか水着になった記憶はなくて。恥ずかしさよりむしろ緊張しました。どう写ればいいかまったくわからなくて。
ーーファッションとは違いました?
川津 はい。グラビアは動きだけでなく、表情もフォーカスするじゃないですか。だから戸惑いました。ポージングも事前に動画を見てきたんですけど、動きがカタくなっちゃって。カメラマンさんの言葉通りに動くので精一杯でした。
ーー撮影で印象に残っているのは?
川津 スタッフさんが全員優しかったことですね。カメラマンさんは「最初はぎこちなくても大丈夫だよ」って声をかけてくれるし、スタイリストさんは「すごく似合ってる!」ってやたらほめていくれるし。おかげでリラックスできました。撮影を終えた後はその日のうちに東京へ。あっという間のロケでした。
ーーそしてついに本誌が出るわけですけど、発売日はどんな心境でした?
川津 やっぱりドキドキしましたね。それまでページ全体を見ていなかったのでどんな風になってるのか気になったし。あと当時は女性ファンが多かったんですよ。週プレは男性読者が大半じゃないですか。だからどんなリアクションがくるのか気になったし。
ーー発売日は本屋さんかコンビニへ買いに行きました?
川津 電子版を書いました。デジタル写真集もグラジャパ!でちゃんと買いましたよ。
ーー紙の本誌は買わなかったの?
川津 そっちは親が何冊か買うって言っていたから、私はいいかなって(笑)。1冊は事務所からもらいました。
ーー見た感想は?
川津 素敵でしたね。いままで見たことのない自分が写っているんですよね。それにはとても感激しました。
デジタル写真集「どうしたって好きになる」(撮影/唐木貴央)より
ーータイトルは「どうしたって好きになる。」ってあるけど。
川津 あははは。それはびっくりしましたよ(笑)。初グラビアだから「初めての~」とか、そういう感じのになるのかなって思っていたんです。それがまさかの。すごくラブリーですよね。嬉しかったです(笑)。
ーー特に気入ってるカットは?
川津 本当に全部お気に入りなんですけど、中でも赤い水着のカットは特に好きです。これはフィッティングの時にいいなと思って、当日着るのを楽しみにしていた記憶があります。デジタル写真集の表紙でも同じ衣装のカットが使われていて。そのときも嬉しかったです。
ーーこの時のグラビアは、週プレでの反響も大きく、デジタル写真集も大ヒットしました。
川津 そのお話を聞いた時は嬉しかったです。でも当時、自分的にはまだ実感がなくて。
ーーその頃はまだツイッターとかSNSをほとんど更新していなかったですよね。それでわからなかったのもあったんじゃないですか?
川津 それもあったと思います。編集さんに告知用の写真をもらったり、オフショットをあげたり。それでフォロワーが増えていく中で少しずつ実感を得ていったって感じです(笑)。
ーーその後、週プレでは2年にわたり、コンスタントにグラビアを掲載させていただき、今年2021年10月にはファースト写真集も発売させていただきました。自分自身グラビアをやっていて、手応えを感じたのはいつ頃ですか?
川津 やっぱり初表紙の号ですね(2020年15号)。
「週刊プレイボーイ」2020年15号(撮影/唐木貴央)より
ーー2回目の撮り下ろし。グラビアデビューからわずか2ヵ月のスピードでした。
川津 週プレさんの企画で誌面にサインをすることになって、編集部にお邪魔したんです。そうしたらページの後ろに「表紙、おめでとう!」って書いてあるサプライズが! びっくりしました。私、あれがセブンティーン時代を含めて、初めての表紙だったんですよ。
ーそうだったんですね。じゃあ思わず涙が出たり……?
川津 いやそれはなかったです。でもすごく嬉しかったです(笑)。
ーーその号では海外ロケだったんですよね。
川津 はい。そのときはスタッフさんにドッキリを仕掛けられて!
ーー一体、何があったんですか?
川津 ロケ地はタイのバンコクってことで、ワクワクして飛行機に乗ったんです。だけど目的地はハワイのホノルルで。
ーー全然違いますね。
川津 本当にひどいんです(笑)。誰も教えてくれないんですから。座席に座って、画面にホノルルって書いてあるから、「あれ?ホノルルってタイだっけ?」ってマネージャーさんに聞いても無視するし。最終的に機中アナウンスで気づいたんですけど、もしそれを聞き逃していたらホノルルに着くまで気づかなかったと思います。
ーーあははは。まぁそういうドッキリを含め、ロケは楽しむものなので。さて川津さんはグラビアをやってよかったと思います?
川津 もちろん。初グラビアから現在まで全部が繋がっていると思うので。グラビアに出たことで仕事のモチベーションがあがりました。どんな仕事も頑張れば、絶対にいい結果に繋がるんだなって思うようになったんです。
ーーグラビアの面白さは?
川津 やっぱりその時々で新しい自分を発見できることですね。シチュエーションやカメラマンさんなどスタッフが異なるだけで全然違う。それが現在、女優として仕事をする上で、別の人を演じられるんだって自信にもなっています。
ーー初グラビアを見返したりします?
川津 私はケータイにこの時のデジタル写真集を入れてあるんです。なので何の気なしに見返しますね。見て表情が幼いなとか、これは何を思ってカメラの前に立っていたのかとかいろんなことを考えます。
ーーこれはみなさんに聞いているんですがこの時の表情っていまできますか?
川津 どうでしょう。頑張ってみるけど、やっぱり無理かなぁ。もちろん少しの不安はあったんだけど、撮影のすべてが新鮮で、楽しくて仕方ないって表情をしていますよね。見ていると私のグラビアのお仕事は本当にここから始まったんだなって思いますね。
*第11回前編は、11月17日(水)配信予定です
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カメラマン・唐木貴央が語る川津明日香の初グラビア
川津さんは手足が長くて、顔が小さい。また全身のバランスがよく、顔立ちも可愛らしい。初めてお会いした瞬間から、逸材だと思いました。
撮影は最初からすごくスムーズでしたね。「初グラビア」ということでいくらか抵抗はあるかなと思いましたが、スタッフへ壁を作るようなことはなく、あくまで自然体。緊張はしていたようですが、恥ずかしいそぶりはまったく見せない。僕自身は楽しく撮影させていただきました。
撮影で気づいたのは彼女の勘のよさ。普段、グラビア撮影では、表情やポーズを表現しやすいよう、女のコにキーワードを投げかけることがあります。「恋人と一緒にいるように」「男性を翻弄するように」など。ただ「初グラビア」の時は、言ってもそれを表現するのはなかなかできないもの。
ところが彼女はそれを見事にできていました。それどころか途中からはこちらが言わなくても察し、イメージ通りの姿を見せてくれていた。彼女の中では必死だったのかもしれませんが、それには正直、驚きましたね。
最初に黒の水着姿をプールサイドで撮ったんですが、写真を見ながら「最初からこれはすごい。早くもいいグラビアになる気がする」とスタッフ全員でワクワクしたのを覚えています。
特に気に入っているのは、ラストページに掲載された花柄水着のカット。ロケのラストに夕暮れで撮影したものですが、憂いのある表情といい、ポーズといい理想的だと思います。
彼女の魅力は、シチュエーションによって異なる姿を見せてくれる表現力の豊かさだと思います。朝のシーンであれば爽やかな姿を表現し、ビーチであれば元気な姿を見せてくれる。表情といい、動きといい引き出しが多く、撮影していると楽しいんですよね。シャッターを押す度、また別の彼女が出てくるんじゃないか。そんな風に思えてきます。これからも見たことのない魅力的な姿をたくさん見せて欲しいですね。
川津明日香(Asuka KAWAZU)
2000年2月12日生まれ 東京都出身
身長163㎝
特技=クラシックバレエ、習字
公式Twitter【@Asuka_Kawazu_】
公式Instagram【@asuka_kawazu】