週刊プレイボーイ創刊55周年スぺシャルインタビュー『7日間の女神たちへ!!』~1990年のかとうれいこ③

“週プレ”の華はいつの時代も、その時代に生きる日本中のオトコたちの心と体をつかんだ、他の雑誌よりページ数が断然多い、そのとき日本で一番のオンナたちが彩る「グラビア」ページだった!


そんな各時代の誌面に登場してくれた“伝説のオンナ”たちに会いに行き、グラビアの魅力を改めて紐解くインタビュー連載企画。その第4回目には、あの、かとうれいこさんが登場!


野田義治社長率いる芸能事務所『イエローキャブ』の「長女」として、90年代初頭よりグラビアを席巻した“リアル・レジェンド”は、多忙な当時をどう振り返ってくれたのか?

久々に週プレに登場いただいたかとうさんにじっくりと話を聞いた。


取材・文・インタビュー写真/大村克巳


* * *


――デビューからいろいろな仕事をして、かとうさんもいろんなビジョンを考えていたと思うんですが、野田さんの考えとぶつかるなんてことは、ありましたか?


かとう ありましたね。野田さんは現場が好きで、いつも近くにいたので。野田さんは思ったことをバーンって直球で伝えてくる。でも二十歳そこそこの自分はその意味がわからない。そうなるとこちらも溜めないで、その場で「なんで」って言い返しちゃう。


――それはそれで、いい関係だったんでしょうね。


かとう そうですね。人を介してのやり取りじゃないから、周りがまあまあって止めてくれる。

――スタッフとしては厳しい現場だね。どこにいていいか、わからないもの。


かとう 名物社長だったんで、「キャラ」的に。


――僕は芸能界に疎かったんで、「野田社長知らないの」って言われましたね。


かとう だってダチョウ倶楽部さんがモノマネしてたくらいですよ。有名人です。



――野田さんはかとうさんの後に続く「巨乳アイドル」の後輩をどんどん世に出していきましたが、その状況で事務所の長女的なかとうさんはプレッシャーを感じたりしませんでしたか?


かとう そういうのは無かったですね。同じ事務所でもなかなか話す機会がなくて。共演して、はじめましてって感じで。それも何年か経ってからですね。


――今日はかとうさんのお気に入りの写真集ということで、カメラマンの小沢忠恭さんがかとうさんを撮影された写真集を週プレが手に入れてくれたので、写真家とモデルというテーマで話を進めていきたいと思います。


かとう 思い出の中で、この写真集が大好きです。


――これまでたくさんの写真集を出されている中で、ベストにこの本を選んだ理由をお聞かせください。


かとう まず前提として、これまでの写真集は全て好きなんです。でも小沢さんとの写真集が好きな理由を挙げるとしたら、小沢さんの自然体と心地よい柔らかな撮影の仕方でしょうか。だから自分が素直に出せた。水着の私に、グイグイくるカメラマンの人が当たり前だった時、ふわっとした感じで私を受け止めてくれた。


週刊プレイボーイ1993年46号より(撮影/小沢忠恭)


――小沢さんの愛情を感じる一冊になってますね。


かとう 上手く寄り添ってくれた。この中で、私の髪が短いときの写真以外はロスで撮影をしました。


――この写真集、何回も見させていただいて気づきますが、カメラマンがモデルに対して優しい眼差しを向けています。これは愛の形ですね。そのことを感じるのは、実は「かとうれいこが写っていないカット」なんです。


かとう えー、教えて?


――この写真集のテーマは、かとうさんと小沢さんの旅なんですね。この旅の中でかとうさんはどんどん大人の色気を纏う。小沢さんはそれをまるで四季を愛でるように、美しさを記録していく。この物語を構成するためのイメージカットは、小沢さんから送られたラブレターです。ポエムなんです。このイメージカットに妥協がないでしょう。それは見ればわかります。かとうさん、愛されてましたね。


かとう そうだったんですね。素晴らしい解説ありがとうございます。ものすごく嬉しい。


週刊プレイボーイ1993年46号より(撮影/小沢忠恭)


――小沢さんの魔法のソフトフォーカスも効いてます。この絶妙なボケ味、いまだに僕、わかりません。


かとう こういう写真集が残っているのというのは、ほんとにありがたいですね。違うって言われるかもしれないけど、今ってデジタル主流で、カメラも進化しているから、写真もそこそこ撮れてしまって、修正もできる。あの頃はフィルムでの撮影で、一発勝負だったから、確かな腕を持ったカメラマンしか仕事が回っていかなかった時代なんだと思うんです。モデルの方もすごく真剣でした。


――今思うと、写っているかどうかは現像してみないとわからない。カメラが壊れていたかもしれないし。現像して確認するまで緊張感はありました。先輩方の中には、撮影済みのフィルムが失くなったり、盗まれたこともあるという話を聞いて、背筋が凍りましたね。僕がアンカーとなって撮影するまでに、どれだけの時間とお金がかかってるか。考えただけでも気を失いそうになる。セッションの時間は戻せないから。


★次回更新予定は、9月12日(日)です


●かとうれいこ

1969年2月19日生まれ 埼玉県出身

1989年クラリオンガールに選出され、注目を浴びる。その後、グラビアアイドルの第一人者として数多くの写真集、イメージビデオなどを発表。また、タレントや女優、歌手とさまざまな分野で才能を開花させた。2001年の結婚を機に仕事をセーブ。

2012年から芸能活動を再開し、バラエティやドラマ、イベントなど幅広く出演している。


●大村克巳(おおむら・かつみ)

1965年、静岡県生まれ。写真家。

1986年にJPS展金賞受賞し。99年ニューヨーク・ソーホーでギャラリーデビュー。

2002年日韓交流事業「済州島」を日本と韓国で発表し、

2009年から2017年より毎年「NEWS ZERO展」を開催する。

個展、グループ展の開催多数。

著書に写真集『伝言 福山雅治』(集英社)、

『はだしのゲン 創作の真実』(中央公論新社)など。

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