『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第11回後編 北向珠夕

「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生で一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ。


今回は18歳の時、「週刊プレイボーイ」の2018年21号に初登場した、女優・北向珠夕さん。学生時代、青春をかけたバレーボールを怪我で断念し、旭化成のキャンペーンモデルとして芸能界デビュー。前回は週プレのグラビア撮影が決まり、ロケに出かける直前の心境までを聞きました。今回は実際の初グラビアの現場について。そして数度にわたるグラビア出演を通じ、彼女が見つけたものは何だったのか。当時の心境とともに振り返ってもらいました。


『週刊プレイボーイ』2018年21号(撮影/桑島智輝)より


ーー初グラビアの撮影当日、現場までの心境は?


北向 都内で集合して、ロケバスで千葉県にあるスタジオまで移動したんですけど、まずそれに感動しました。ロケバスなんてテレビで見ただけ。地元でああいうバスは、結婚式場の送迎車だけですからね(笑)。ただ移動中はずっと緊張してました。グラビアがどんな風に撮影されるのかわからなかったし、ちゃんとできるのか不安でしたし。


ーーすでにキャンペーンモデルで水着撮影はやっていたでしょう?


北向 そうなんですけど、雰囲気がまるで違います。水着ではなく自分が見られてるって感じが撮影前からものすごくしました。


ーー現場では合計5着の水着に着替え、爽やかで健康的な姿を撮影しました。


北向 撮影が始まってからも緊張してました。グラビアってあらかじめポーズが決められていて、それを撮るものだと思っていたんです。それがカメラマンさんに「動いていいよ」「好きにしていいから」と言われて。一体どうすればいいのか、まったくわからず固まってしまいました。ただ確か2ポーズ目かな。芝生の上のシーンで、カメラマンさんに「サイドステップしてみて」と言われて。そこから少し気持ちが楽になりました。


ーーサイドステップ?


北向 きっと「軽く横に動いてみて」くらいの指示だと思うんですけど、部活を思い出しガチのサイドステップをやったんです(笑)。恐らく現場的には違和感があったと思いますけど、私自身は体を動かしたことで、緊張がほぐれました。また撮影用にバレーボールを用意してくれていて、それをヘアメイクなどの合間に触っていたら気持ちがずいぶんと落ち着いてきました。でもそうすると今度は逆にあまり爪痕を残せてないなとも思えてきて。


ーー爪痕というと?


北向 例えばヘアメイクしていただいてる時、当たり障りないことしかしゃべってないんじゃないかな、みたいな。売れていく人って、スタッフさんとのちょっとした会話でも「おやっ、この子は何か違うぞ」って印象に残るものを見せていると思うんです。少しでも「この子いいな」とか「面白いな」とか思ってもらいたかったんですよ。


ーー一所懸命、自分を伝えようとしていたんですね。


北向 せっかくお仕事の機会をいただいたので、やはり次に繋げたいですから。でもそんなことを考えているうち、あっという間に撮影は終わってしまいましたけど。帰りのバスの中では、ほっとした気持ちと、お仕事をやり遂げた充実感でいっぱいでした。


ーー撮影から少し経ち、掲載誌が発売。その時はどんな心境でした?


北向 すごくワクワクしましたね。田舎と違い、東京は深夜0時過ぎに並ぶコンビニもあるじゃないですか。当時、姉と暮らしていたんですけど、「一緒に買いに行こう!」って深夜のコンビニに出かけたのを覚えています。見つけた時は二人してめちゃくちゃ興奮しましたね。


初グラビアを収録したデジタル写真集『鮮烈すぎる初めて。』(撮影/桑島智輝)より


ーー誌面を見て印象に残った写真はあります?


北向 水着の上に白いタンクトップを着ているカットです。肩の力が抜けて、ホッとした表情を浮かべているんですけど、そんな自分を見たことがなくて。他の写真も含め、つくづくグラビアってすごい!って驚きました。また大勢の方がご覧になる雑誌に載ることで、自分が新しい一歩を踏み出した気持ちにもなって。すごく感動しました。


ーー発売後、周りの反応は?


北向 いろんな方に「おめでとう」「キレイだね」ってメッセージをいただきました。親は地元の雑誌を買い占め、知人に配っていたようです(笑)。特に嬉しかったのは、旭化成さんの地方周りに出かけた時。その地域の社員さんや家族の方々が、サインしてくださいって私の載っている週プレを持ってきてくれるんです。皆さん、家族のように喜んでくれました。


ーーその後、北向さんは都合8回にわたり週刊プレイボーイの誌面を飾ってくれています(2021年11月時点)。中でも印象に残っているグラビアは?


北向 どれも印象に残っていますが、特に記憶に残ってるのは2つあって。ひとつは『野性の証明』というグラビア(2019年3・4合併号掲載。現在週プレ プラス!の「+アーカイブス」で閲覧可)。岩場のビーチや森の中などの大自然の中、力強く撮っていただきました。


『週刊プレイボーイ』2019年3・4合併号(撮影/岡本武志)より


ーー目つきの鋭いカットも多く、タイトル通り「野性」的な雰囲気が伝わってきますね。


北向 日が暮れた後、火を焚いてそのそばで撮ったカットがあるんですけど、特にそれはものすごい「野性感」があります。あとこの時は沖縄で撮影したんですけど、泊まりでロケしたのは初めて。スタッフさんたちとずっと一緒にいることで、自分を集中させてくれるために、皆さんがどれだけのことをしてくれているのかがわかりました。グラビアってチームプレイなんですよね。言うなればみんながトスを上げて、最後に私がスパイクを打つみたいな(笑)。この時以降、撮影、いやお仕事への意識がガラリと変わりました。


ーーもうひとつは?


北向 『令和のアマゾネス』(2019年21号掲載)です。内容的には『野性~』を発展させたような感じ。この時は八丈島でロケしたんですけど、柄モノなどの派手な水着を着て、草むらや岩場でキリッとポーズを決めました。『アマゾネス』というのは強い女の意味。『野性~』もそうなんですけど撮影中、自分の中ではものすごくしっくりきましたね。じつはそれまでどんなグラビアが自分らしいのかずっと考えていたんですけど、それがわかったというか。私にとって「自分らしいグラビア」というのは「強いグラビア」だったんですよね。


『週刊プレイボーイ』2019年21号(撮影/岡本武志)より


ーー『~アマゾネス』の時は、初めて週プレの表紙を飾っていただきましたよね。


北向 はい。そのインパクトもあったのか、インスタのコメントで「アマゾネスってピッタリだ!」っておっしゃる方が多く、また私を知ってくださる方も増えました。『アマゾネス』は自分の進む道すじを示してくれたグラビアです。


ーー北向さん自身はグラビアをやっていて、どこが楽しいですか?


北向 自分でいられることです。心と体の状態がそのまま写ってしまうのがグラビアだと思うんです。言い換えればありのままの自分というか。もちろんいい時も悪い時もありますけど、だからこそご覧になった方に、自分の何かを感じてもらえるんじゃないかと。それが楽しいです。



ーーその原点である、「初グラビア」を今も見返したりします?


北向 わざわざ引っ張り出すことは滅多にないですけど、目につくとつい見ちゃいます。改めて見ると笑顔といい動きといいすべてぎこちないし、スタッフさん頼りな感じが伝わってきますよね。でもそれだけ一所懸命な気もします。


ーーいまこの時と同じ表情はできますか?


北向 いやいや難しいですよ(笑)。ここまで不安と緊張が入り混じった表情は、いまとなってはなかなかできないですよね。


ーー最後に北向さんはグラビアをやってよかったと思います?


北向 もちろん。もしやっていなければ、いま自分はここにいません。みんなでひとつのものを作り上げることの面白さ、自分でいることの楽しさなどをグラビアから学びました。一番最初の一生懸命だった自分を忘れることなく、これからも可能な限りグラビアを続け、いろんなことを学んでいきたいです。


*第12回前編は、12月1日(水)配信予定です



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担当編集者が語る北向珠夕の初グラビア


北向さんは、旭化成のキャンペーンモデルのお仕事(2018年)がちょうど決まった頃にお会いしました。


彼女は学生時代、全国でも名だたる強豪校に通い、全国大会に出場するなど青春のすべてをバレーボールに捧げた熱血スポーツ少女。それが怪我によりバレーを断念し、地元・青森から上京。初めてのオーディションを勝ち抜き、見事キャンペーンモデルに。ルックスのよさに加え、そんなシンデレラ・ストーリーがとても興味深く、記念すべき初グラビアを撮影させていただきました。


当日、現場ではかなり緊張されていましたよ。動きも非常にぎこちなかった。そこでバレーボールを打ったり、走ったりするなど、終始動いてもらうことで、ナチュラルな姿を撮影させていただきました。一言の指示も聞き漏らすことないよう神経を張り巡らせ、少しでも自分を表現しようとする。そんな姿が印象的でした。じつに素直でひたむきな方だと思いましたね。


週刊プレイボーイでは、その後も北向さんを継続的に撮影させていただいています。その中でも特に彼女の本質に迫れた気がしたのは、彼女もお気に入りにあげてくれていましたが「野性の証明」と「令和のアマゾネス」というグラビアです。


「野性の証明」は、彼女自身初となる沖縄ロケ。スポーツ少女だった彼女の「健康的」「爽やか」というイメージからもう一歩踏み込んで、「野性」というキーワードを軸に撮影しました。ヴィヴィッドなカラーの衣装を用意したり、燃え盛る炎を風景の中にセットしたり。じつに迫力あるグラビアになりました。


そしてそれをクオリティアップさせたのが「令和のアマゾネス」。これは八丈島ロケです。衣装は柄モノや光沢のある水着などを用意し、より鮮烈に。またロケーションも岩場や野原などで。想像以上にワイルドな内容となりました。


どちらも共通して表現したのは彼女の持つ「強靭な肉体美」。もともと全国区レベルのバレーボール選手だけあって、高身長でスタイル抜群。特に腰回りから長い脚にかけてのダイナミックなラインは日本人離れした素晴らしさです。またメンタルも鍛え抜かれ、目元からは力がみなぎっています。崖や岩、あるいは草むらなどのロケーションで大胆なポーズを決めた、じつに迫力あるカットが多々ありますが、これは北向さんだから成立できたんだと思いますね。


それと彼女はもともと宝塚のファン。だからなのかはわからないですけど、北向さんにはどこかボーイッシュな部分がある。それもこれらのグラビアにはいい形で作用した気がします。


北向さんのインタビューでは、まさにこの二回の撮影がご自身のターニングポイントになったとか。今後も彼女らしさを見失うことなく突き進んでいただき、またご一緒したいですね。


北向珠夕(Miyu KITAMUKI)

1999年12月14日生まれ 青森県出身

身長170㎝ B86 W62 H85

特技=バレーボール、球技

公式Instagram【@kitamuki_miyu】

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