『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第4回前編 華村あすか

「週刊プレイボーイ」の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの人生でたった一回きりとなる「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いをこと細かに綴る連載シリーズ。


今回は、女優・華村あすかさん。彼女は週刊プレイボーイの2017年36号に初グラビア、初表紙という形で登場。表紙には「検索してもまだ何の情報も出てこない普通の女のコが初仕事にして初表紙、初巻頭。シンデレラストーリーが今、始まる」の文字。プロフィールを含め、詳しい情報が一切ない無名の新人の可憐な姿に読者や業界関係者は大きな衝撃を受けました。


華村さんは一体、どんな経緯で「週刊プレイボーイ」のグラビアへ登場したのか。当時はどんな思いを抱いていたのか。話を聞きました。


週刊プレイボーイ2017年36号(撮影/佐藤裕之)より


ーー華村さんは現在、女優としてご活躍されていますが、もともと芸能のお仕事にはまるで興味がなかったとか。


華村 興味がないというか、無縁だと思ってました。高校まで本気でバスケに励んでいて、芸能界に入ろうなんて一度も考えたこともなかったので。それに私は山形県の田舎育ち。そんな華やかな世界のことなんて想像もできませんでした。


ーー芸能界に入るきっかけは、スカウトだったんですよね。


華村 そうです。高校卒業の間際、友達と生まれて初めて原宿に行った時にスカウトされたんですけど、絶対何かの勧誘だって思いました(笑)。でも話を聞くと、その事務所が有名な女優さんが多くいらっしゃるところで。家族とも相談して、挑戦することにしました。当時、進路は決まってたんですけど、そんなチャンス、人生でそうそうないですから。


ーー週刊プレイボーイ編集部には事務所所属後、割と早い段階で顔見せに来られましたよね。その時の心境は?


華村 すごく緊張しました。顔見せ自体、その時が初めてだったのもありますけど、これまでとはまったく別の世界にいる方たちとお会いしているわけですから。あと、その時は水着にも着替えて、自分を見てもらったんです。自分の水着姿をまじまじと見られるなんてなかったから、不思議な気持ちにもなりました(笑)。



ーーもともとグラビアに対して、抵抗はなかったんですか?


華村 正直に言えば、最初はありました。グラビアってセクシーなイメージを持っていましたから。あと私は、体が筋肉質なんですけど、それがコンプレックスで。華奢な体に憧れていたので、見せるのは恥ずかしかったんですよね。でも事務所の先輩方もグラビアをやっていましたし、表現の勉強にもなるだろうなって。自分のためになることなら頑張ろうってやることを決めたんです。


ーー潔いですね。すぐロケが決まりましたが、その前にスタジオでテストシュート(衣装やメイクを試す事前撮影)を行いました。


華村 その時は、スタジオに行く前から不安しかなかったです。


ーー水着になるのがやはり恥ずかしくなったとか?


華村 初めてなので、それは少しはあったけどそれより「テスト」じゃないですか。表現のセンスがないと思われたら編集さんに「グラビアの話はなかったことに」って言われるんじゃないかって。ずっとビクビクしていましたね。


ーー「テスト」を試験的なものだと思ったんですね。


華村 はい。だからなんとかいいところを見せたくて。でも実際はポージングはできないし、表情もかたいし……。裕之さん(カメラマン・佐藤裕之氏)は自然な姿を撮ろうとしてるのに、ロボットみたいにぎこちなくなっちゃうんです。正直悔しい気持ちでいっぱいでしたね。あがってきた写真を見たらすごくキレイだったので、グラビアってすごいなと思いましたけど。


初グラビアを収録したデジタル写真集『ゼロの18歳〜デビュー〜』(撮影/佐藤裕之)より


ーーそしていよいよロケへ。場所は北海道の釧路でしたが、行ったことはありました?


華村 いえ、なかったです。北海道は札幌に家族旅行で行っただけで。でも釧路と聞いた時は「え?」って思いました。私の中でグラビアは南の島みたいなイメージがあって。でも釧路は北じゃないですか。一体、どんなイメージで撮影するんだろうってずっと、それこそ飛行機の中でもそのことばかり考えてましたね。


ーー初めてのロケなのに浮かれることなく、撮影のことを。


華村 やはりテストシュートのこともありましたから。今度こそみなさんの想いに応えなきゃって気持ちが強くて。なので自分がよく写ろうとか考えず、がむしゃらにやろうって思いましたね。


ーー実際に現地に着いたときは?


華村 すごく自然が豊かで、実家を思い出してリラックスできました。その意味では釧路でよかったと思います。


ーー草原など自然がある場所に加え、主に洋館や誰もいない体育館の中など落ち着いた場所で撮影していますね。


華村 テストシュートの時、誰かに「あすかちゃんって、キャピキャピしてないね」って言われたんです。確かに「18歳! 元気です!」ってキャラでもないので(笑)、自分に合うしっとりしたイメージを選んでくれたのかもしれません。


デジタル写真集『ゼロの18歳~デビュー~』(撮影/佐藤裕之)より


ーー撮影はどんな感じだったんですか?


華村 はじめてなのもあったと思うんですけど、それぞれの場所で割とじっくり撮っていただきました。でもその一方でライブ感もあって。


ーーライブ感?


華村 バスの移動中、雑草が生い茂ったような場所を見つけ「あそこで撮ろう!」っていきなり降りて撮影するみたいな。あと私、毎朝走る習慣があって、ロケの時も早起きしてホテルのまわりを走っていたんです。そうしたら「じゃあ明日の朝はそれを撮ろう!」って、走る用に持ってきた自前のパジャマみたいな格好で走る姿を撮ったり(笑)。今思うと、すごく瞬発力が鍛えられました。


ーー誌面には載らなかったですけど、大雨に打たれたり、傘を振り回したり、泥水に飛び込んだり、初グラビアにしては過酷というかかなり激しいシチュエーションでも撮っていますね。


華村 高校のバスケ部時代はかなり気合いを入れてやっていたので、これくらいいけるだろうって期待を込めて迫力ある撮影にしていただいた気がします。逆にもしもっと穏やかなロケだったら緩んじゃうというか。気が張るくらいのほうが自分には合ってる気がします。


ーーあとこの時のロケでは、笑顔が少ないですよね。


華村 私、この撮影では笑っちゃいけないと思ってました。


ーーそうなんですか?


華村 それこそキレイな海とかなら笑顔も絵になると思うんです。でも体育館みたいな場所だと「え? 何笑ってるの?」ってなるじゃないですか? 笑顔がロケーションと合ってない気がしたんです。


デジタル写真集『ゼロの18歳~デビュー~』(撮影/佐藤裕之)より


ーーなるほど。そういえば当時のインタビューで語っていましたけど、場所や衣装に応じ、それぞれに気持ちの入れ方を変えて撮影に臨んでいたんですよね。


華村 はい。ウェットな感じだったら寂しそうな気持ちとか、可愛らしい衣装なら甘い感じとか。やっぱり場所にしても衣装にしても、またメイクにしても、スタッフさんが考えてくださってるわけじゃないですか。なのに全部同じ表現だと失礼じゃないかなって。自分に表現する技術はまだないけど、できる範囲で変える努力をしなきゃと思って。それで気持ちから変えていったんです。


ーーそれは誰かにアドバイスを受けたわけでは……


華村 違います。自分なりに考えました。でも今思えばちょっと考えすぎだったのかもしれないです。


ーーいやいや、それを最初の撮影から、自分で考えてやれたのはすごいです。ほかに撮影で覚えてることはあります?


華村 あとは食事ですね(笑)。朝食からご飯2杯食べちゃったり。


ーー2杯も! グラビアをやる人って、お腹が出るから、朝は控えめにするものだけど。


華村 なのですぐ止められました(笑)。それ以降は気を使うようになりましたよ。でも出てくるものがどれも本当に美味しくて。撮影後の帰り道に連れて行ってもらったお寿司屋さんでは、ウニやいくらをたくさん食べさせていただいたり。幸せでしたね~。あとスイーツもめっちゃ美味しかったし。


ーー当時のロケ風景を収めた動画が、『週プレ プラス!』に残ってますけど、華村さんは幸せそうに食べていますね。


華村 あははは。いずれにせよ本当に楽しい撮影でした。ロケの間はずっと気が張っていたので空港に着いた瞬間、一気に力が抜けました。でも同時に「終わった!!」って、これまでに味わったことのない達成感もありました。


*第4回後編は、7月21日(水)配信予定です


* * *


担当編集者が語る、華村あすかさんの初グラビア


華村あすかさんとお会いしたのは、新人ということで、事務所の方と顔見せに来ていただいたのが最初です。その時は上京したばかり。とにかく素朴で、芸能界の匂いがまったくしない。訛ってもいました。仕事柄、新人さんにはたくさんお会いするのですが、ここまで何ものにも染まっていない印象を受けたのは初めて。「こんなコがいるんだ!」と思ったのを覚えています。

また当日は水着に着替えてくれて、全身を拝見したんですが、それまでバスケットボールをやっていたということで、非常に健康的なスタイルをしている。当時、誌面を賑わしていたのは華奢な方が多かったので、それも新鮮に思いました。

まだ宣材もなかったので、その後、テストを兼ねてスタジオで撮影させていただきました。衣装はシンプルな水着で、メイクは眉毛を少し描いて、リップを塗ったくらい。ほぼすっぴんです。華村さんはもちろん緊張していて、とにかくぎこちない。でもそれが思っていた以上によくて。表紙への抜擢を考えたのはその時です。そのまっさらな華村さんの姿には、表紙にしたい何かがあったんですよね。


週刊プレイボーイ2017年36号(撮影/佐藤裕之)より


初グラビアのロケ地は北海道の釧路です。「初グラビア」というとビーチでロケすることが多いものですが、ちょっと違うと思ったんです。テスト撮影の時、笑顔ではなくちょっと困っているような顔がやたら印象的で。明るくて、キレイだという表面的なものじゃない。もっと彼女そのものを写してみたかったんです。

撮影は森の中や廃校となった学校の体育館などで行いました。それ以外にも土砂降りの雨に打たれてもらったり、泥水の中に寝そべってもらったり。あと山道を全力疾走してもらったりもしました。ちょっと過酷な撮影だったかも。それでも華村さん自身は一所懸命やってくれました。初めてでグラビアのロケがどんなものか知らないから思い切りよくやれたのもあったでしょうね。その時点での彼女を出してもらえたと思いますね。

グラビアでの彼女の魅力? ひとつ挙げるとしたら立ち姿でしょうか。すっと立った時にできる、背中から腰にかけての曲線が美しいんですよ。思わずキャッチフレーズをつけたくなるほどの魅力を感じました。また肩甲骨周辺など、背中そのものも美しいです。


デジタル写真集『ゼロの18歳~デビュー~』(撮影/佐藤裕之)より


この時のロケは3泊4日。通常は1泊や2泊なので、ちょっと長いですよね。初めてということでじっくり撮ろうと思ったのと、あとグラビアを好きになってほしいと思ったから。グラビアは、ただ水着になって肌をさらすだけのものじゃない。みんなで時間を共有しながらひとつの作品を作り上げていく。その面白さを肌で知って欲しかったんです。

彼女が初めての表紙と巻頭を飾った初グラビアは、自分たちの想像をはるかに越え、大好評でした。当時、彼女には芸名がついたばかりの頃だったので、インターネットに情報はなく、多くの問い合わせが編集部に殺到しました。その後の活躍は皆さん、ご存知の通りです。漫画誌ほかのグラビアをはじめ、バラエティ、ドラマ、広告、CMなどに出演。数ヶ月前までまったくの無名だった女のコが一躍、いろんな人に知られることとなりました。

初グラビアで気に入っているカットですか? やっぱり扉のカットですね。そして2~3ページの見開きへと続く構成です。「彼女は一体何者なんだろう」ってところから始まって、「何かあるんじゃないか」「どんな物語が始まるんだろう」って。今改めて見ても、これらの写真からは、そんな予感と可能性が十分感じられると思うんです。


華村あすか(Asuka HANAMURA)

1999年3月18日生まれ 山形県出身 

身長168cm B86 W60 H83

趣味=歌うこと、体を動かすこと

特技=バスケットボール

2017年夏、週プレの表紙巻頭でグラビアデビュー。以後、女優としてもドラマや映画で活躍中。

公式Instagram【@hanamura_asuka_colors】

公式Blog【https://ameblo.jp/hanamura-asuka/】

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