『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第4回後編 華村あすか

「週刊プレイボーイ」のグラビアを彩る女性たちが、人生でたった一回きりとなる「初グラビア」について語る連載シリーズ。


今回は、女優・華村あすかさんによる後編。彼女は『週刊プレイボーイ』の2017年36号に初グラビア&初表紙という形で登場。ネットを探しても何の情報もない、18歳・無名の新人による鮮烈なデビューは当時、大きな話題となりました。後編は本誌が発売されてから現在まで。自分が表紙となった号を見たとき華村さんは一体、どんな思いだったのか。話を聞きました。


ーーその後、初グラビアが週刊プレイボーイ誌上に掲載されるわけですが、なんと表紙・巻頭を飾りました。「初登場」&「初表紙」の方は週プレ55年の歴史の中でほんのひと握りです。表紙の話は事前に聞いていました?


華村 はい。でもその時点では、それがどれほどのことなのかは正直、よくわかってなかったです。すみません。


ーー誌面は巻頭7ページ。特に好きなカットはあります?


華村 どれも好きですけど、一枚と言われれば最初の見開きです。


ーーラグジュアリーな柄の椅子を4つ並べ、その上に横たわっているカットですね。


華村 はい。すごくキレイじゃないですか。あとこれ、髪をハーフアップにしていただいてるんです。それがまた大人っぽくて。これまで童顔、童顔って言われ続けてきたので、新しい自分を発見できて嬉しかったです。


ーーその見開きの前にある扉ページはテストシュートの一枚ですね。


華村 はい。髪を下ろしていて、すっぴんに近いメイクですけど、これはほぼ素の自分です。比べてみると全然違いますよね(笑)。


ーー扉で素の華村さんが現れ、ページを開くと華やかな華村さんが見開きで登場する。これから新しい物語が始まるんだ!という雰囲気でワクワクしてきます。


華村 はい。自分もこの流れは大好きですね。



週刊プレイボーイ2017年36号(撮影/佐藤裕之)より


ーー発売当日は、自分が表紙の週プレを探しました?


華村 午前中にコンビニに行きました。そうしたら本当に載っていて。でも複雑な気持ちになりました。


ーー複雑な気持ちですか?


華村 これ、本当に自分なのかなって。現実感がないというか……、戸惑いがあって。あと恐怖心もありました。う~ん、なんていうか……。いままでとは別の世界へ本格的に足を踏み入れた感じがして。「この先、私、どうなるんだろう」って考えたら急に怖くなっちゃったんです。


ーー数ヶ月前までは普通に生活していたんですからね。周りの反応は?


華村 友達からたくさんLINEが届きました「これ、◯◯(華村さんの本名)だよね?」って。本当に仲のいい友達以外に言ってなかったから、みんなびっくりしたみたいで。あと親からも連絡がきました。「週刊プレイボーイの表紙になるなんてすごい! おめでとう!」って。確かにすごいことをしたのかもしれないけど、自分のこととは思えなかったです。


ーーその見開きに「まだ何者でもない。」とありますけど、まさしく自分がそんな風に見えたんですか。


華村 そうです。その時点でまだ何もしていないわけですから。なのに自分がこうして載っていいのかなって……。


ーー編集部には「あのコは誰なんだ」って、業界関係者からたくさんの問い合わせがありましたよ。当時、ネットに華村さんの情報はゼロでしたしね。ご自身を取り巻く環境は変わったんじゃないですか?


華村 変わりました! これが出た後すぐに「サンデージャポン」(サンジャポ)への出演が決まり、選挙ポスターのキャラクターに呼ばれたり、翌年にはドラマ『宮本から君に』への出演が決まったりといろんなお話をいただきました。



ーー絵に描いたようなシンデレラストーリーですね。


華村 『サンジャポ』に出たときは感激しました。ついこの間まで家族と見ていた番組に出られたわけですから。しかもその時、そばには中学の頃から憧れてた池田エライザさんもいて(笑)。


ーーでもそれだけ変わるとそれはそれで戸惑いがあったんじゃないですか?


華村 そうなんです。それこそ『サンジャポ』に出たあたりからさらに現実感がなくなってきて。周りのスピードに気持ちがついていかなくなったんです。夜、家に帰ってひとりになった瞬間、たくさん泣いたこともありました。その頃ですね。週プレさんで表紙デビューしたことがいかにすごいことだったかわかったのは。そしてこの先、それだけの期待に応えていけるのかなって。


ーー言い方はアレですけど、ある種の十字架を背負ったみたいな。


華村 はい。ただ自分としてはひとつひとつのお仕事を一所懸命やっていくしかないんですけどね。


初グラビアを収録したデジタル写真集『ゼロの18歳~デビュー~』(撮影/佐藤裕之)より


ーーその後、週プレでは表紙を含め、何度も登場していただきました。週プレのグラビアで特に印象に残っているのは?


華村 すべて印象に残っていますけど「花、咲く、季節に。」(2018年12号)はよく覚えていますね。春をイメージして撮っていただいたグラビアなんですけど、矢西さん(カメラマン・矢西誠二氏)からイメージについて細かな説明がたくさんあったんです。それまでは自然体を撮っていただくことが多かったので、なかなか応えられなくて。次第に不安になって泣いてしまいました。不甲斐ないというか……。あと「その涙を超えて」(2018年53号)も印象に残ってますね。


ーー氷点下の軽井沢、白馬に行って、スケートリンクで寝そべるなどの姿を撮ったというグラビアですね


華村 過酷だったのもそうなんですが撮影中、丸谷さん(カメラマン・丸谷嘉長氏)から「殻を破れ! 自分をもっと出せ!」って熱い言葉をたくさんいただいて。その熱に負けず、応えようとしたんですけどなかなか難しくて……。その時も本当に悔しい思いをしました。


デジタル写真集『花、咲く、季節に。』(撮影/矢西誠二)より


デジタル写真集『その涙を超えて。』(撮影/丸谷嘉長)より


ーー撮影では毎回、自分と戦っているんですね。いっそグラビアをやめたいと思ったことは?


華村 それはありません。私、グラビアを通じて、その時々の自分を見つけるんです。表現力もそうだし、体型やメンタルもそうだし。それがなくなったら、自分がいまどんな状態なのかわからなくなってしまう。


ーーある意味、座標軸みたいな感じですか。


華村 そうです。なので決してやめたいなんて思ったりはしません。


ーー初めてのロケから4年が経ちますが、グラビアへの向き合い方は変わりました?


華村 以前に比べ、力むことがなくなりました。どんな状況でもすべてをプラスに変えて、それこそ楽しめるようにもなりました。前は撮影の帰り道、いつも後悔ばかりして、沈んでいたんです。現場を重ねたことでいろんなスタッフさんとコミュニケーションをはかれるようになったことも大きいです。


ーー今の華村さんにとって初グラビアとはどんな位置付けですか?


華村 私、このグラビアはいまもよく見るんです。特に仕事で辛いと思った時は見ます。見ることで気持ちをリセットして、また頑張ろうと思える。スタート地点であり、帰ってくる場所でもありますね。


ーー最後にこの時の自分を見てどう思います?


華村 ひとつ思うのは「同じ表情はもうできない」ってことですね。特に目が違うんですよ。


ーー目が違う?


華村 はい。怯えてる気持ちと戦おうとする気持ちが混ざり合っているんです。テストシュートの写真は怯えてる気持ちが強いんですが、途中から戦おうとする要素が増えてきている。そんな二つの気持ちが入り混じる目はもうできないです。


ーーいまはどんな目なんですか?


華村 戦おうとする目です。その時よりもっともっと戦いに挑もうとしている目だと自分では思います。私は最高の形で初グラビアデビューさせていただきました。その時のことを忘れず、これからも自分に負けないよう戦い続けたいです。


*第5回前編は、8月4日(水)配信予定です


* * *


カメラマン・佐藤裕之氏が語る華村あすかさん初グラビア


華村あすかさんとは最初、週刊プレイボーイ編集部でお会いました。2017年の春だったかな。当時、彼女はまだ事務所に入ったばかり。無色透明というか、まだ何ものにも染まっていない感じがすごくあって。一気に惹かれました。また芸能の仕事をしていくことに対して不安もあったんでしょうね。心が揺れる感じがそのまま顔に出ていて。それも初々しくて魅力的に映りました。

初グラビアの撮影は北海道・釧路で行いました。釧路に決まったのは確か編集さんからの提案だったと思います。僕にとってグラビアは女のコが一人前の女優やタレントになるためのステップ。“初グラビア=青空の下、ビーチで笑顔”というような、ありきたりのものにはしたくないと思っていたので、すごく楽しみでしたね。

撮影でよく覚えているのは初日です。当日は天気が悪く、いつしか土砂降りに。その大雨の中で華村さんには傘を振り回してもらったり、びしょ濡れになってもらいながら撮影させていただきました。極めて激しいシチュエーションではあったけど、そこで彼女の内側にある何かを引き出せるんじゃないかなって思ったんですよね。

またグラビアって楽しそうに見えて、裏では辛いこともあります。わずかな休みもなく延々と撮影することもあれば、極寒の中で撮影することもある。最初にそんな経験をしてもらうのは大事かなとも思いました。過酷な撮影でしたが、華村さんは辛そうなそぶりをひとつも見せず、懸命に応えてくれました。

この時の撮影は、2回にわたって週プレの表紙を含む誌面に掲載されました。最初に掲載された時は、業界内でも話題になったらしく、僕のところにいろんなところから連絡が来ましたよ。「あのコ、誰なの?」って質問から「事務所が決まってないなら紹介してもらえない?」なんて依頼まで。それだけ華村さんの姿に見ている人の心を動かすものがあったんでしょうね。

自分の中で印象に残っているのは、第一回目の扉になったカットです。釧路へのロケの前、テストシュートをして、その最初に撮影したカットなんですけど、ヘアをちょっとセットしたくらいで、ほぼノーメイク。最初に僕が受けた華村さんの印象がそのまま写っています。このコはどんなふうに大成していくんだろうって、期待感が詰まっています。

それともう一枚。2回目に掲載された、早朝でのカット。彼女は毎朝走るというルーティンがあって、釧路でも走るというので、みんなで一緒に走り、その合間に撮ったスナップです。普通はカメラを向けられるとどうしても構えてしまいます。でもこれはまったくそれがない。彼女の素がそのまま写っていると思いますね。


週刊プレイボーイ2017年39&40号(撮影/佐藤裕之)より


彼女の魅力ですか? グラビア的に言えば、顔とスタイルとのギャップですよね。ピュアな顔立ちなのに、水着になると迫力がある。バストが大きく、背中のラインがなだらかで美しく、全身がみなぎっている感じ。とても健康的ですよね。その後、一緒に石垣島へ行ったりと何度か週プレさんでロケを一緒にさせてもらいましたが、毎回、撮影が楽しみでしたね。


<週プレ PHOTO BOOK> 華村あすか「ゼロの18歳~デビュー~」

撮影/佐藤裕之 価格/1320円(税込)


華村あすか(Asuka HANAMURA)

1999年3月18日生まれ 山形県出身 

身長168cm B86 W60 H83

趣味=歌うこと、体を動かすこと

特技=バスケットボール

2017年夏、週プレの表紙巻頭でグラビアデビュー。以後、女優としてもドラマや映画で活躍中。

公式Instagram【@hanamura_asuka_colors】

公式Blog【https://ameblo.jp/hanamura-asuka/】

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