『初グラビア物語~My First Gravure Story~』第14回後編 工藤美桜 

『週刊プレイボーイ』の誌面を彩り、現在、さまざまな分野の第一線で活躍する女性たち。彼女たちの「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ。


今回は女優、モデルとして活躍する工藤美桜さんの後編。前回は、女優を志し、『週刊ヤングジャンプ』での初グラビアに挑戦するまで経緯を尋ねましたが、いよいよその撮影時のエピソードを。


彼女は一体どんな心境で現場に臨んだのか。そして、その後の『週刊プレイボーイ』のグラビア撮影について、またグラビアへの想いまでを語ってもらいました。

『週刊プレイボーイ2021年31&32合併号』(撮影/笠井爾示)より


――『週刊ヤングジャンプ』さんでの初グラビア。撮影当日まではどんな心境でした?


工藤 いやもう、ずっとドキドキしっぱなしでした。確か鎌倉周辺のスタジオと海で撮影したんですけど、到着するまで「今日、大丈夫かな~」って! スタッフさん方も全員「初めまして」だし、ただもう「どうなっちゃうんだろう!」って。


――不安で仕方なかったと。


工藤 はい。最初にスタジオに着いた時なんてやばかったです。入った瞬間、倒れそうになるかと思ったし(苦笑)。でもヘアメイクのタムさん(田村直子)さんが、お母さんみたいな方だったんですよ。優しく声をかけていただいて、リラックスできました。


――ファーストショットの時はどうでした?


工藤 Tシャツに短パン姿で、徐々に脱いで水着になっていく形だったんですけど、すごく緊張しました。カメラマンさんに「それじゃあ脱いでみようか」って言われたんですけど、なかなか決心がつかなくて。手が止まっちゃうんですよ。


このままじゃダメだと思って、「やー!」「えーい!」ってもう勢いをつけて脱ぎました。そうしたら、意外と平気で(笑)。撮り続けているうち、どんどん楽しくなってきましたね。



――撮影の思い出なんてあります?


工藤 グラビアって、もっとしっとりした現場だと思っていたんです。それがわちゃわちゃして明るい雰囲気で。終始笑っていました。あと撮影後、みんなで遅い昼食をとりにカレー屋さんへ行ったんです。そこでハイボールを一杯だけ飲んだら緊張が解けたせいか、すぐ酔いが回っちゃって。バスの中で爆睡して帰りました(笑)。


――掲載誌が出た時はどうでした?


工藤 すごい反響をいただきました。ファンの方や友達から「よかったよ」って。『キラメイ』のみんなも見てくれて、(新條)由芽ちゃんも「かわいいじゃん!」って喜んでくれました。じつを言うと出るまでは反応が怖かったんですよ。だからホッとしました。


――その後、半年後には『週刊プレイボーイ』に初登場します(2020年31&32合併号)。こちらは『ヤングジャンプ』の可愛らしい雰囲気とは変わって、美しさが際立つグラビアですね。


工藤 大人っぽいですよね。特に赤い水着のカットは盛れていて特に好きですね(笑)。


デジタル写真集『PINK&GAP』(撮影/笠井爾示)より


――撮影で覚えていることは?


工藤 この時はカメラマンさんに「感じたままに動いていいから」と言われたんですけど、そういう指示のされ方は初めてだったので戸惑ってしまって。何度も「カタい!」と言われる中、必死にカメラに向かっていた記憶があります。


あと佇まいが「80年代のアイドルっぽい」と言われました(笑)。もともと昭和顔って言われることが多いので、その言葉は妙に印象に残っています。


――確かに当時のアイドルを思わせる、キラキラした雰囲気がありますね。この時のグラビアはデジタル写真集『PINK&GAP』にまとめられ、発売後は大ベストセラーに。工藤さんは「グラジャパ!アワード2020」で最優秀新人賞に選ばれました。


工藤 まさかグラビアで賞をいただけるとは思ってなかったのでびっくりしました。それまでいいと言っていただきましたけど、グラビアに対して決して自信があったわけでもないので、認めてもらえた気がして嬉しかったです。いただいたトロフィーは今も自宅の玄関に大事に飾ってありますよ。


――週プレでは2022年1月現在までに4回撮影しています。工藤さんご自身ではどれが一番お気に入りですか?


工藤 2回目に撮影したグラビアですね。


――本誌でいうと『ピンクの放熱』、『艶夢』(それぞれ『週刊プレイボーイ』2021年7号、9号掲載)と2回にわけて掲載したグラビア。これは、週プレnetでも大々的に配信されました。(現在は「週プレ プラス!」の「+アーカイブス」で閲覧可能)


『週刊プレイボーイ2021年7号』(撮影/岡本武志)より


工藤 はい。このグラビアは奥多摩と鎌倉と2ヶ所でロケしたんです。たくさん撮っていただく中で、以前言われたような「感じたままに動く」という表現がつかめた手応えがありました。あとこの時は、自然光にこだわった撮影をしていただいたんですよ。差し込んでくる陽の光に温かみがあって、どのカットもセンチメンタルというか、エモくて気に入っています。


――なるほど、どのカットもまるでドラマのワンシーンのようです。


工藤 あとこのグラビアには普段、自分でも見たことのない表情がいくつも載っているんです。自分の新しい魅力を引き出してもらえて感動しましたね。


――その後、週プレやヤングジャンプさん以外にグラビアで大活躍していますが、撮影中はどんなことを意識しているんですか?


工藤 シチュエーションの中で自分をどう見せるか、ですね。キレイ系か、カワイイ系か、あと強い感じなのかとか。それにあわせて表情も考えます。特にグラビアは、映像などと違って、カメラマンさんと対話しながら撮影するじゃないですか。なのでカメラマンさんの意向を読み取ってどう応えるかは大事にしています。


――前に『キラメイジャー』の共演者が、監督から何かを求められたら何倍にもして返す人ばかりだったと言ってましたが、グラビアでの工藤さんもカメラマンから求められたら、やはり何倍にもして返したいと?


工藤 その気持ちはすごくあります。その上で、自分の表現が合ってればそれでいいし、ダメならまた別のをやろうって。『キラメイジャー』での経験はグラビアでも生きていますね。


――現在では雑誌の表紙を飾ることも増えました。それについては?


工藤 ものすごく嬉しいです。掲載誌が発売されたら、コンビニへ行って買うんですけど、絶対レジ袋を貰わずに、表紙を表にして胸に抱えて帰ります(笑)。


――そんなことしたら、工藤美桜さんだってファンに気づかれるんじゃないですか?


工藤 それは一度もないです。私、街中ではすごく地味にして、存在を消してますから。今後も絶対にないです。自信あります(笑)!


『週刊プレイボーイ2020年7号』(撮影/岡本武志)より


――あとグラビアって編集者が写真を選ぶじゃないですか。「なぜこれを?」って思うことはありますか?


工藤 たまにありますね。でも私がいいと思うのと他の方がいいと思うのは違うし、選んでもらったカットのほうがいいと言われることが多いので受け入れます。なんだったらSNSを含め、自分の写真はすべて誰かに選んで欲しいなとも思ってるくらいです(笑)。


――こうしてお話をお伺いしていると、随分とグラビアを楽しみながらやってらっしゃるんですね。


工藤 そうですね。グラビアってありのままの自分を撮っていただけるじゃないですか。それがいろんな意味でいい刺激になっていると思います。体型にしても、メンタルにしてもいい状態でいたいと常に思うようになったし。


特に体型面でいえばグラビアを始めてからヒップがキレイだと言われるようになったので、トレーニングを頑張っています(笑)。グラビアをやったことで、女優、モデルとして新しい一歩を踏み出せた気がします。あの時、思い切って挑戦してよかったなって、つくづく思いますね。


●工藤美桜(Mio KUDO)

1999年10月8日生まれ 東京都出身 身長165㎝ 特技=日本舞踊

○長い歴史があるスーパー戦隊と仮面ライダーの両シリーズで“変身”した唯一の女優として知られている。『with』の専属モデルとしても活躍中。

公式Twitter【@p_miokudo】公式Instagram【@mmio_kudo



『週刊プレイボーイ』担当編集者が語る工藤美桜のグラビア


工藤美桜さんを最初に撮影したのは、『週刊プレイボーイ』の「スーパー戦隊ヒロイン特集号」(2020年31&32合併号)の時です。この号は戦隊ヒロインを演じた女優さんやタレントさんたち大勢がグラビアで競演。


工藤さん演じる『魔神戦隊キラメイジャー』の大治小夜は、天才外科医で戦隊メンバーたちのお姉さん的なキャラクターだったので、グラビアでは大人っぽさを全面に打ち出そうと、スタジオでシンプルに撮り下ろしました。


現場は滞りなく終わり、満足のいく写真が撮れましたが、この時、特に印象的だったのが撮影後に行なったインタビューです。


10歳で芸能界入りし、不安や葛藤を抱えながらも、仕事を続け、ようやく憧れていた戦隊ヒロインの一員になった。すごく嬉しい、でも現状に満足することなく、さらなる高みをめざしたい――自分の言葉を振り絞り、時に目に涙を浮かべながらそう熱く語ってくれた工藤さん。その姿に、華奢で可憐な外見からは想像つかないほどの、熱い想いを感じました。


その彼女の気持ちを受けとめ、撮影したのが週プレ2回目の撮り下ろし。『ピンクの放熱』と『艶夢。』(それぞれ『週刊プレイボーイ』2021年5号と7号に掲載)です。


この時のロケ地は奥多摩と鎌倉。スケジュールがちょうど12月、1月だったこともあり、冬の温かみのある日差しを順光、逆光、木漏れ日などさまざまな形で活用し、工藤さんの軌跡を思い起こさせるようなドラマチックで、情感豊かなグラビアを撮影しました。


工藤さんはシーン毎にこちらの意図を汲み取り、身体中を駆使して、気持ちをこめて表現。またハンディカメラを渡すと積極的に自撮りをしてくれて、撮影に色も添えてくれました。結果、完成したグラビアはスタッフ間で大満足。読者からも大好評でした。彼女の女優としての本領に触れた気がします。


工藤美桜さんの魅力は、なんといってもその強い意志だと思います。自分はこう表現したい、こういう姿でありたいって想い。それがあるから、仕事に対して真摯に向き合ってくれる。それが現場にも伝わるし、いい形で表れる。グラビアもいいものになるんだと思います。また機会を設けて、一緒に撮影にでかけたいですね。


『PINK&GAP』工藤美桜 撮影/笠井爾示 価格/1320円(税込)

関連サービス